浪人すれば、第一志望に合格できるのだろうか?
と不安に感じている高校生もいるでしょう。浪人には勉強に使える時間が増える利点がありますが、1年間勉強すれば必ず成績が伸びるわけではありません。
また、浪人の成功を「第一志望への合格」と考えるか、「第二志望以下を含む大学進学」と考えるかによっても、成功率は変わります。インターネット上で見かける数字だけを根拠に、浪人するか決めるのは避けたいところです。
本記事では、浪人経験者を対象とした調査結果をもとに、浪人の成功率について解説します。成績が伸びる人の特徴や浪人生活を始める際の準備も紹介するので、自分の進路を考える材料にしてください。
浪人の成功率はどのくらい?
浪人の成功率を示す、全国共通の数字があるわけではありません。受験する大学や学部、浪人前の学力、浪人年数などが一人ひとり異なるためです。
ここでは、じゅけラボ予備校が2023年12月に実施したインターネット調査を参考にします。調査対象は、浪人経験がある19~26歳の男女330人です。あくまで特定の民間調査による結果であり、すべての浪人生に同じ割合が当てはまるわけではありません。
浪人1年目の第一志望合格率は42.1%
調査では、浪人経験者の42.1%が、浪人1年目に第一志望大学へ合格したと回答しています。浪人によって第一志望へ合格した人がいる一方で、半数以上は1浪目に第一志望へ合格していません。
ただし、42.1%という数字を、そのまま自分の合格率として考えることはできません。調査では、回答者が受験した大学や学部、浪人前の成績などが統一されていないからです。
自分の合格可能性を考える際は、調査結果だけでなく、志望校の合格最低点と現在の得点差も確認しましょう。どの科目で何点伸ばす必要があるかを調べると、1年間で目標へ近づけるか判断しやすくなります。
第一志望以外の大学へ進学する人もいる
同じ調査では、浪人1年目に第二志望へ合格した人が30.3%、第三志望へ合格した人が11.5%、第四志望以下へ合格した人が6.1%でした。受験した大学がすべて不合格だった人は10.0%です。
第一志望に合格できなかったからといって、全員が2浪目を選ぶわけではありません。第二志望以下の大学へ進学し、浪人生活を終える人もいます。
浪人する前には、第一志望以外ならどの大学へ進学するかも考えておきましょう。
「第一志望に届かなければもう1年浪人する」と決める方法もありますが、時間や費用の負担が増えます。どの結果なら進学するのか、家族と話し合っておくと、合格発表後に落ち着いて判断できます。
2浪以上で第一志望に合格した人は30.2%
調査対象者のうち、2浪以上を経験した男女86人に限ると、最終的に第一志望大学へ合格した人は30.2%でした。第二志望への合格は31.4%、第三志望への合格は15.1%、第四志望以下への合格は10.5%となっています。
数字だけを見ると、浪人1年目より第一志望合格率が低く見えます。しかし、2浪以上の調査対象者は86人に限られており、志望校や学力も同じではありません。「2浪すると第一志望に合格しにくくなる」とまでは言い切れない点に注意が必要です。
浪人年数を増やせば、自動的に合格へ近づくわけでもありません。再び挑戦する場合は、前年度の勉強方法や受験校選びを振り返り、次の受験で変える部分を明確にする必要があります。
浪人するかを決めるための判断基準
浪人には、第一志望へ再挑戦できる利点があります。その反面、大学への入学が1年以上遅れるほか、予備校や受験にかかる費用も必要です。
「不合格だったから浪人する」とすぐに決めず、自分が浪人して何を実現したいのか考えましょう。現在の学力や家庭の状況も含めて検討することが大切です。
浪人してまで目指したい大学・学部があるか
最初に確認したいのは、その大学や学部を目指す理由です。大学の知名度や偏差値だけでなく、学びたい内容、取得したい資格、卒業後の進路まで調べてみてください。
たとえば、希望する資格を取れる大学がほかにもあるなら、第一志望以外への進学も選択肢になります。反対に、研究したい分野を扱う大学が限られている場合は、浪人して再挑戦する理由になり得るでしょう。
浪人生活では、思うように成績が上がらず、気持ちが揺れる時期もあります。目標が明確であれば、「なぜ勉強しているのか」を思い出しやすくなります。
志望校と現在の学力にどのくらいの差があるか
浪人するか考える際は、志望校と現在の学力の差を具体的に確認します。模試の判定だけでなく、入試本番や過去問の科目別得点、合格最低点との差まで見てください。
合格最低点まで30点足りなかった場合でも、1科目で30点伸ばす必要があるのか、3科目で10点ずつ伸ばせばよいのかによって対策は異なります。苦手分野を克服すれば差を埋められるのか、科目全体を基礎から学び直す必要があるのかも確認しましょう。
学校や塾の先生に相談すれば、自分だけでは気づきにくい課題も見つかります。1年間でどこまで伸ばせそうか、第三者の意見も聞いたうえで判断してください。
現役時代の不合格原因を改善できるか
同じ志望校へ再挑戦するなら、現役時代に合格できなかった原因を明らかにする必要があります。「勉強が足りなかった」で終わらせず、具体的に振り返りましょう。
主な確認項目には、次のようなものがあります。
原因によって、浪人中に取り組む内容は変わります。不合格の原因を特定できず、現役時代と同じ勉強を繰り返すだけでは、次の入試でも同じ課題が残りかねません。
浪人にかかる費用を負担できるか
浪人中には、予備校やオンライン学習の受講料だけでなく、教材費、模試代、受験料、交通費などもかかります。自宅から通えない予備校を選ぶ場合は、住居費や生活費も必要です。
必要な金額は、学習方法や受験校数によって大きく異なります。予備校などを利用する場合は、授業料に何が含まれているか確認しましょう。季節講習や個別指導、教材、模試が別料金になっている場合もあります。
費用について家族に相談するのは、気が重いかもしれません。しかし、浪人生活を途中で続けられなくなる事態を防ぐためにも、始める前の確認が必要です。受講料だけでなく、入試が終わるまでの総額を家族と話し合ってください。
勉強を続けられる環境があるか
浪人生活では、高校のように毎日の時間割や学校行事が用意されているとは限りません。宅浪を選ぶ場合は、自分で起床時間や勉強時間を決める必要があります。
自宅では集中しにくい、生活リズムが崩れやすいと感じる人は、予備校や自習室、図書館などを利用する方法があります。わからない問題を質問できる相手や、学習状況を確認してくれる人がいるかも確認しましょう。
精神面の支えも必要です。成績が伸びない時期に一人で悩み続けないよう、家族、高校の先生、予備校の講師など、相談できる相手を決めておくと安心です。
現役で大学へ進学する場合と比較したか
すでに大学へ合格している場合は、進学する選択肢と浪人する選択肢を比較しましょう。第一志望ではなくても、興味のある授業や希望する資格、留学制度などが用意されている可能性があります。
比較する際は、大学名や偏差値だけで決めないことが大切です。学べる内容、通学環境、学費、卒業後の進路などを調べてください。そのうえで、1年間かけて第一志望へ再挑戦する価値が自分にとってどのくらいあるのか考えます。
浪人と進学のどちらが正しいという答えはありません。周囲の期待だけで決めず、自分が納得して取り組める進路を選びましょう。
浪人して成績が伸びる人の特徴
浪人すれば勉強時間を増やせますが、時間の長さだけで成績が決まるわけではありません。現役時代の課題を分析し、必要な勉強へ時間を使えるかどうかが大切です。
成績が伸びても第一志望への合格が保証されるわけではありませんが、次に紹介する特徴を参考にすれば、浪人生活で見直すべき行動がわかります。
現役時代の勉強を具体的に振り返っている
成績が伸びる人は、現役時代の勉強について具体的に振り返っています。単に「勉強時間が足りなかった」と考えるのではなく、どの科目や単元が不足していたのか、なぜ計画どおりに進まなかったのかまで掘り下げます。
たとえば、英語の得点が低かった場合でも、原因は人によって異なります。単語や文法の知識が不足していた人と、長文を読む速度が足りなかった人では、優先すべき勉強も同じではありません。
入試結果や模試の成績表、使用した教材を並べて振り返ると、課題を見つけやすくなります。自分だけで判断しにくい場合は、先生にも見てもらいましょう。
苦手科目や基礎学習を後回しにしない
苦手科目の勉強は時間がかかり、成果もすぐには見えにくいものです。それでも、合否への影響が大きい科目であれば、早い段階から取り組む必要があります。
浪人生活が始まると、難しい問題を解いて現役時代との差をつけたくなるかもしれません。しかし、基礎が不十分なまま応用問題へ進むと、解説を読んで覚えるだけになりやすく、初めて見る問題に対応できません。
最初に、教科書や基礎レベルの問題集で理解度を確認してください。解けない理由を説明できる状態まで戻り、土台を固めてから応用問題へ進みましょう。
現在の学力に合った計画を立てている
学習計画は、志望校の難易度だけでなく、現在の学力を基準に立てます。合格者が使っていた教材をそのまままねしても、自分の理解度に合わなければ十分な効果は得られません。
年間計画を作る際は、入試から逆算して「いつまでに何を終えるか」を決めます。その後、月単位、週単位の目標へ分けてください。予定を詰め込みすぎず、復習や計画の遅れに対応する時間も残します。
計画は一度作って終わりではありません。模試や過去問の結果を見ながら、優先する科目や教材に使う期間を調整しましょう。
模試や過去問の結果を次の勉強に生かしている
模試は、判定を確認するだけのものではありません。科目別・分野別の得点を見れば、次に取り組むべき課題を見つけられます。
たとえば、数学の点数が低かったとしても、解法を知らなかったのか、計算ミスが多かったのか、時間が足りなかったのかによって対策は変わります。間違えた原因を分けて記録し、次の勉強内容に反映してください。
過去問では、得点だけでなく時間配分も確認します。繰り返し解く際は、答えを覚えるのではなく、以前間違えた理由を説明できるか確かめましょう。
勉強を続けられる生活リズムを保っている
浪人生活では、毎日無理なく勉強を続けるための生活リズムが欠かせません。夜遅くまで勉強して翌日の午前中を無駄にするより、入試本番の時間に合わせて起きる習慣を作るほうが実践的です。
起床・就寝時間だけでなく、勉強を始める時間や休憩の取り方もある程度決めておきましょう。スマートフォンを長時間見てしまう場合は、勉強中だけ別の部屋へ置く方法もあります。
休む時間をなくす必要はありません。疲れて集中できないまま机に向かうより、睡眠や休憩を確保し、翌日の勉強へ切り替えるほうが継続しやすくなります。
一人で抱え込まず周囲に相談している
浪人中は、現役で大学へ進んだ友人と自分を比べたり、模試の判定を見て不安になったりする場合があります。悩みを一人で抱え続けると、勉強に集中しにくくなるかもしれません。
学習面の悩みは、高校の先生や予備校・塾の講師に相談できます。生活リズムや費用、進路については、家族とも定期的に話す機会を作りましょう。
相談する際は、「成績が上がらない」とだけ伝えるのではなく、学習記録や模試の結果を見せると具体的な助言を受けやすくなります。自分では気づかなかった計画の無理や、勉強方法の偏りが見つかる場合もあります。
浪人が決まったら取り組みたいこと
浪人が決まったら、すぐに勉強量を増やすのではなく、現役時代の振り返りから始めましょう。課題を整理せずに教材を増やしても、合格に必要な力が身につくとは限りません。
優先する課題を決め、入試までの計画へ落とし込むことで、浪人生活の目的が明確になります。
入試結果から優先して改善する課題を決める
まずは入試結果や過去問、直近の模試を見直します。合格最低点との差だけでなく、科目ごとの得点や解答できなかった理由まで確認してください。
課題が複数ある場合は、合否への影響が大きいものから取り組みます。たとえば、配点の高い英語が基礎から不足しているなら、ほかの科目と並行しつつ、英語に多くの時間を割く必要があるでしょう。
課題を一度にすべて解決しようとすると、どの勉強も中途半端になりがちです。「最初の1カ月で単語と文法を復習する」など、取り組む順番を決めましょう。
入試日から逆算して年間計画を立てる
年間計画は、入試本番から逆算して作ります。共通テストや志望校の個別試験がある場合は、過去問を始める時期や、入試形式に合わせた演習期間を先に確保してください。
次に、基礎学習と問題演習へ使える期間を考えます。一般的な受験スケジュールを参考にするだけでなく、自分の苦手科目や志望校の出題傾向に合わせることが大切です。
計画には予備日も設けましょう。体調不良や理解に時間がかかる単元があっても、余裕があれば全体の予定を立て直せます。
毎週の目標と学習記録を作る
年間計画を立てたら、月ごと、週ごとの目標へ分けます。「英語を頑張る」ではなく、「単語帳の何ページまで終える」「過去問を何年分解く」といった形で、達成したか確認できる目標にしてください。
学習記録には、勉強時間に加えて、取り組んだ範囲や理解できなかった部分も残します。予定より時間がかかった教材があれば、翌週の計画を調整しましょう。
記録の目的は、長時間勉強したことを確認するためではありません。計画どおりに力がついているかを見直し、次に必要な勉強を決めるために使います。
模試や過去問で定期的に現在地を確認する
勉強を続けていると、教材を終えること自体が目標になりやすくなります。学んだ内容が得点につながっているか、模試や過去問で定期的に確認しましょう。
模試では、判定の変化だけでなく、苦手分野が改善しているかを見ます。過去問では、合格最低点との差、解答にかかった時間、問題を解く順番なども記録してください。
結果が計画を下回っている場合は、単純に勉強時間を増やすのではなく、原因を調べます。基礎へ戻るのか、演習量を増やすのか、学習方法を先生に相談するのかを決めましょう。
第一志望以外の受験校も早めに検討する
浪人中は、第一志望だけに意識が向きがちです。しかし、受験直前になってから併願校を探すと、入試科目や出題形式の違いに対応できない場合があります。
第一志望への挑戦を続けながら、実力相応校や安全校も早めに調べてください。大学名だけではなく、学部の内容、通学環境、学費、卒業後の進路も確認します。
第一志望に届かなかった場合でも、納得して進学できる大学を見つけておくことが大切です。出願日や入試日、合格後の手続き期限が重ならないかも確認しましょう。
浪人中の学習環境の選び方
浪人中の学習方法には、予備校、宅浪、オンライン学習などがあります。どの方法を選べば合格しやすいと一律に決めることはできません。
授業の形式だけでなく、自分で生活を管理できるか、質問できる相手が必要か、通学にどのくらい時間がかかるかなどを比べましょう。費用を含め、1年間続けられる環境かどうかも判断の基準です。
予備校が向いている人
予備校は、決まった時間割に沿って勉強したい人や、講師へ直接質問したい人に向いています。定期的な面談や受験情報の提供がある予備校なら、学習計画や受験校選びについても相談できます。
一方、授業を受けただけで成績が伸びるわけではありません。授業の復習や問題演習に使う時間を確保し、理解できていない部分を残さない姿勢が必要です。
予備校を選ぶ際は、授業料だけで判断せず、季節講習や教材、模試などに追加料金がかかるか確認してください。自習室の利用時間、質問対応、通学時間も比較しましょう。
宅浪が向いている人
宅浪は、自分で学習計画と生活リズムを管理できる人に向いています。通学時間がなく、必要な教材を自分で選べるため、苦手科目へ時間を配分しやすい方法です。
ただし、学習の進み具合を確認してくれる人がいないと、計画の遅れや勉強方法の偏りに気づきにくくなります。生活リズムが崩れたり、一人で過ごす時間が長くなったりする点にも注意が必要です。
宅浪を選ぶ場合でも、模試を定期的に受け、高校の先生などに成績を見てもらいましょう。図書館や有料自習室を利用し、勉強する場所と休む場所を分ける方法もあります。
オンライン学習が向いている人
オンライン学習は、通学時間を抑えながら授業や学習支援を受けたい人に向いています。近くに希望する予備校がない場合や、自分のペースで授業を進めたい場合にも選択肢となります。
サービスによって、録画授業を視聴する形式、決まった時間に授業を受ける形式、個別に学習管理を受ける形式など内容は異なります。料金だけでなく、質問への回答方法や面談の頻度も確認してください。
自宅で受講する場合は、宅浪と同じく生活リズムの管理が必要です。授業を視聴するだけで終わらず、復習や問題演習まで含めた予定を立てましょう。
浪人するかは成功率だけで決めない
民間調査では、浪人1年目に第一志望へ合格した人が42.1%という結果が示されています。しかし、志望校や浪人前の学力が異なるため、同じ数字が自分にも当てはまるわけではありません。
浪人するか迷ったときは、志望校へ再挑戦したい理由、現在の学力、不合格の原因、費用、勉強を続けられる環境を確認しましょう。合格した大学へ進学する選択肢がある場合は、学べる内容や卒業後の進路も比較してください。
浪人を選ぶなら、現役時代と同じ勉強を繰り返すのではなく、1年間で変える行動を具体的に決める必要があります。家族や先生とも相談し、自分が納得して取り組める進路を選びましょう。

