志望校の倍率を見て、
こんなに高いなら受からないかも
と不安になっていませんか。
大学受験の倍率にはいくつか種類があります。同じ「2倍」でも、志願者数を使った数字なのか、実際の受験者数を使った数字なのかで意味が変わります。倍率が高いからといって、入試問題が難しいとも限りません。
倍率は、合否を決めつける数字ではなく、入試の状況を知るための材料です。この記事では倍率の意味や正しい見方、志望校選びへの生かし方をわかりやすく解説します。
大学受験の倍率とは?まずは2種類を知ろう
大学受験の倍率は、募集枠や合格者に対して、何人が志願・受験したのかを表す数字です。主に「志願倍率」と「実質倍率」の2種類があります。
どちらも「倍率」と呼ばれますが、計算に使う人数が違います。大学や受験情報サイトによって表示方法が異なる場合もあるため、数字を見るときは計算方法や注記も確認しましょう。
志願倍率は「志願者数÷募集人員」
志願倍率は、大学へ出願した人数を募集人員で割って求めます。
志願者数÷募集人員=志願倍率
募集人員100人の入試に500人が出願した場合、志願倍率は5倍です。1つの募集枠に5人が出願した計算になります。
ただし、出願した500人全員が受験するとは限りません。大学が募集人員より多くの合格者を出すこともあります。そのため、志願倍率が5倍でも、実際に「5人のうち1人しか合格しない」とは限りません。
実質倍率は「受験者数÷合格者数」
実質倍率は、実際に試験を受けた人数を合格者数で割って求めます。
受験者数÷合格者数=実質倍率
200人が受験し、100人が合格した場合の実質倍率は2倍です。500人が受験して100人が合格した場合は5倍となります。
実際に受験した人と合格した人を使うので、入試でどのくらいの競争があったのかをつかみやすい数字です。ただし、実質倍率がわかるのは入試が終わったあとです。これから出願する場合は、過去の入試結果として参考にしましょう。
実質倍率と合格率はどう違う?
実質倍率は「受験者何人につき1人が合格したか」、合格率は「受験者のうち何%が合格したか」を表します。
実質倍率が2倍なら、計算上の合格率は50%です。4倍なら25%となります。ただし、志願倍率から合格率を求めることはできません。志願倍率には、欠席者数や実際の合格者数が反映されていないためです。
また、合格率50%だからといって、自分の合格可能性も50%になるわけではありません。合否は入試の得点などで決まります。倍率や合格率は、受験者全体の結果として捉えてください。
出願速報は最終的な倍率ではない
大学によっては、出願期間中の志願者数を「出願速報」として公表します。速報はあくまで途中経過です。締め切りまで志願者が増える可能性があり、速報と確定後の志願倍率が一致しない場合もあります。
志願者数が確定しても、欠席者数や合格者数はまだわかりません。入試後に算出される実質倍率は、出願時の志願倍率より低くなることがあります。
速報を見るときは、集計日時と前年同時期の数字を確認してください。途中の数字だけで慌てて志望校を変える必要はありません。
何倍から高倍率?数字だけでは線引きできない
大学受験には、「何倍以上なら高倍率」という共通の基準はありません。同じ3倍でも、大学や学部、入試方式が違えば、数字の意味も変わるためです。
高いかどうかは、次の条件をそろえて比べます。
たとえば、ある学部の実質倍率が例年2倍前後なのに、今年は3倍になった場合、「例年より高い」と判断できます。別の大学の3倍と比べるのではなく、条件が近いデータのなかで変化を見るのがコツです。
同じ大学でも学部や入試方式で倍率は変わる
倍率は、大学全体でひとつに決まるものではありません。同じ大学でも、学部・学科・入試方式ごとに募集人数や志願者数が異なります。
たとえば、共通テスト利用方式のなかには、大学独自の試験を受けずに出願できるものがあります。併願しやすいため、志願者が集まりやすい場合があります。
学校推薦型選抜や総合型選抜も、一般選抜とは評価方法が違います。倍率を調べるときは、大学名だけでなく、自分が受ける学部・学科・入試方式まで合わせて確認しましょう。
国公立大学は前期・中期・後期を分けて見る
国公立大学の一般選抜には、前期・中期・後期などの日程があります。日程ごとに募集人数や受験者の動きが違うため、倍率も分けて見なければなりません。
後期日程は前期日程より募集人数が少なく、志願倍率が高くなる場合があります。ただし、志願者全員が実際に後期日程を受験するとは限りません。
国立大学では、前期日程と後期日程の両方に出願し、受験できます。ただし、前期日程に合格して入学手続きを終えると、後期日程を受験しても合格者にはなれません。詳しい条件は、受験する年度の募集要項で確認してください。
志願者が大学の定める人数を超えた場合、共通テストの成績などを使って第1段階選抜が行われることもあります。倍率だけでなく、選抜方法にも目を通しておきましょう。
私立大学は志願倍率が高く見えやすい
私立大学では、1人の受験生が複数の大学・学部・方式へ出願することがあります。同じ受験生による複数の出願も、それぞれ志願者数に含まれます。
合格者全員が入学するわけではないため、大学が募集人員より多くの合格者を出す場合もあります。こうした事情から、志願倍率が非常に高くても、実質倍率は大きく下がることがあります。
私立大学では、志願倍率だけで「難しすぎる」と決めつけず、過去の受験者数と合格者数も確認してください。
倍率だけでは入試の難しさはわからない
倍率が表しているのは、志願者や受験者がどのくらい集まったかです。入試問題の難しさや、合格に必要な学力を直接示す数字ではありません。
受かりやすさを考えるときは、倍率だけでなく、偏差値、共通テストの目標得点率、合格最低点、受験科目、過去問との相性なども確認しましょう。
高倍率だから問題が難しいとは限らない
受験科目が少ない方式や、共通テストの成績だけで出願できる方式には、志願者が集まりやすい場合があります。受験の負担が比較的小さく、併願しやすいためです。
このような方式では、入試問題が難しくなくても志願倍率が上がることがあります。反対に、難関大学でも受験者がある程度絞られていれば、倍率が極端に高くならない場合があります。
倍率、偏差値、問題の難しさは、それぞれ別の情報です。倍率だけを見て、難易度を判断しないようにしましょう。
低倍率でも合格しやすいとは限らない
倍率が低い大学を見つけると、「安全に合格できそう」と感じるかもしれません。しかし、倍率が低いだけでは安全校とはいえません。
志願者が少なくても、受験者の学力が高ければ、合格ラインも高くなる可能性があります。募集人数が少ない入試では、数人の増減だけで倍率が大きく変わる点にも注意が必要です。
大切なのは、自分の模試成績や過去問の得点が合格ラインに届いているかどうかです。倍率が低くても、得点が足りなければ合格は難しくなります。
倍率1倍以下でも全員合格とは限らない
倍率1倍以下の意味は、志願倍率と実質倍率で異なります。
志願倍率が1倍未満なら、募集人員より志願者が少ない状態です。いわゆる定員割れに見えても、大学が定める基準を満たさなければ、不合格になる可能性があります。
一方、同じ受験者と合格者を使って計算した実質倍率が1倍なら、計算上は受験者全員が合格した状態です。ただし、第2志望への振り分けなど、データの集計方法によって表示倍率が1倍を下回るケースもあります。
1倍前後の数字を見つけたら、まず倍率の種類と算出方法を確かめましょう。
倍率を見るときの4つのチェックポイント
倍率を見るときは、数字の高低だけで判断せず、どのような条件で出た数字なのかを確かめます。次の4点を押さえると、倍率を読み違えにくくなります。
過去3年程度の動きを見る
前年の倍率だけでなく、過去3年程度の動きを確認しましょう。毎年ほぼ同じなのか、年によって大きく変わるのかで、数字の受け止め方が変わります。
前年に高倍率だった学部が避けられて、翌年は倍率が下がることがあります。反対に、前年の倍率が低かった学部へ志願者が集まり、翌年は上がる場合もあります。こうした動きが「隔年現象」です。
前年が高ければ、次の年に必ず下がるわけではありません。過去の倍率は次年度を当てるためではなく、変動の幅を知るために使ってください。
募集人数や入試方式の変更を確かめる
倍率が上がっていても、人気が急に高まったとは限りません。志願者数が同じでも、募集人数が減れば倍率は上がるためです。
前年と比べるときは、次の変更がないか確認します。
条件が変わっていれば、前年の倍率とは単純に比べられません。入試結果と一緒に、その年度の募集要項も確認しましょう。
志願者数・受験者数・合格者数も見る
倍率の背景を知るには、計算前の人数も確認します。
たとえば、志願者が500人でも、実際に受験した人が400人なら、100人は受験していません。さらに合格者が募集人員より多ければ、志願倍率と実質倍率の差は大きくなります。
募集人数が少ない方式にも注意が必要です。募集人数10人の方式では、志願者が数人増えただけでも倍率が大きく動きます。倍率だけでなく、募集人員、志願者数、受験者数、合格者数をセットで見ましょう。
偏差値や合格最低点と組み合わせる
倍率だけでは、自分が合格ラインに届いているかはわかりません。次のデータには、それぞれ違う役割があります。
合格最低点を見るときは、満点や科目ごとの配点も確認してください。大学によっては得点調整や換算が行われるため、過去問の自己採点と公表された最低点をそのまま比べられない場合があります。
倍率を見て不安になったらどうする?
出願後に倍率が上がっても、自分の学力が下がったわけではありません。不安になったときは、自分では変えられない倍率より、今から取り組めることに目を向けましょう。
確認したいのは、過去問で何点取れているか、合格ラインまで何点足りないか、併願校を確保できているかの3点です。
倍率だけで第一志望を変えない
倍率が上がったからといって、すぐに第一志望を変える必要はありません。まず、募集人数が減ったのか、志願者数が増えたのか、入試方式が変わったのかを確認します。
次に見るべきなのは、模試の判定と過去問の得点です。合格ラインに近づいているなら、倍率だけを理由に諦めるのは早いでしょう。反対に、倍率が低くても得点が足りていなければ、学習計画や併願校を見直す必要があります。
過去問の得点と合格ラインを比べる
自分の合格可能性を考えるなら、倍率よりも過去問の得点が参考になります。合格最低点が公表されている場合は、自分の得点との差を確認しましょう。
ただし、1年分だけ最低点を超えても、安心とはいえません。問題の難しさや合格最低点は年度によって変わります。複数年度の過去問を解き、合格最低点を安定して上回れるかを確認してください。
最低点が公表されていない場合は、模試の判定や予備校が示す目標得点率などを参考にします。合計点だけでなく、「英語であと10点取る」「数学の大問1と2を安定させる」のように、科目ごとの課題まで整理すると勉強につなげやすくなります。
安全校を含めて併願計画を見直す
第一志望の倍率が予想以上に高かったときは、併願計画に無理がないか確認しましょう。
前年の倍率が低いという理由だけで、安全校を決めるのは避けてください。模試の判定や過去問の得点をもとに、合格ラインを安定して上回れる大学を組み込みます。
試験日だけでなく、合格発表日と入学手続期限も確認が必要です。第一志望の結果が出る前に、併願校の入学金を納める場合もあります。
判断に迷ったら、模試結果や過去問の得点を持って、学校の先生や進路指導担当者に相談しましょう。現在の得点と受験予定を伝えると、より具体的な助言を受けられます。
大学受験の倍率に関するよくある質問
倍率について、多くの受験生が迷いやすい点を簡潔にまとめます。
倍率2倍なら、2人に1人は必ず不合格?
実質倍率が2倍なら、入試全体では受験者2人につき1人が合格した計算です。ただし、個人の合格可能性が50%になるわけではありません。志願倍率が2倍の場合は欠席者数や実際の合格者数が反映されていないため、2人に1人が不合格になるとも限りません。
倍率が急に上がったら志望校を変えるべき?
倍率だけを理由に変える必要はありません。募集人数や入試方式の変更を確かめたうえで、模試の判定、過去問の得点、合格ラインとの差、併願校の状況から判断しましょう。
最新の倍率はどこで確認できる?
まずは大学公式サイトの「出願状況」「志願者速報」「入試結果」などを確認してください。予備校や大学受験情報サイトを見る場合も、年度、学部・学科、入試方式、倍率の計算方法、速報の集計日時まで確かめましょう。
倍率はほかの入試データと一緒に見よう
大学受験の倍率を見るときは、まず志願倍率と実質倍率を区別します。次に、同じ大学・学部・入試方式の過去数年分を比べ、募集人数や選抜方法に変更がないか確認しましょう。
倍率は、第一志望を諦めるための数字ではありません。過去問の得点、合格最低点、模試の判定と組み合わせて、受験計画やこれからの勉強に生かしてください。


