大学受験を控え、「夏期講習を受けたほうがよいのだろうか」と悩んでいる高校生も多いのではないでしょうか。周りが次々と申し込んでいると、自分も参加しなければ遅れてしまうように感じるかもしれません。
しかし、夏期講習は受けるだけで成績が上がるものではありません。講座を詰め込みすぎると、自分で問題を解いたり、授業内容を復習したりする時間が足りなくなる場合もあります。
大切なのは、夏休みに解決したい課題を整理したうえで、必要な講座を選ぶことです。本記事では、大学受験向けの夏期講習で学べる内容や授業の種類、講座の選び方、受講した内容を定着させる方法まで解説します。
大学受験の夏期講習では何をする?
夏期講習とは、塾や予備校が夏休みを中心に開講する短期講座です。普段から塾に通っている生徒だけでなく、夏期講習のみ受講できる場合もあります。
通常授業が年間のカリキュラムに沿って進むのに対し、夏期講習は特定の科目や単元を短期間で学ぶ講座が中心です。主な内容として、1学期までの復習、苦手分野の克服、共通テスト対策、大学別の入試対策などがあります。
苦手な科目や単元を集中的に復習する
学校の通常授業がない日が多い夏休みは、苦手分野を復習する時間を確保しやすい時期です。夏期講習では、1学期までに習った内容を振り返り、理解が不十分な部分を集中的に学べます。
講座を選ぶ前に、何が苦手なのかを具体的にしましょう。「数学が苦手」と考えるだけでは、必要な講座を絞り込めません。「数列の漸化式で式を立てられない」「英文法の関係詞を区別できない」のように整理すると、受講する目的が明確になります。
つまずいている原因が前の単元にある場合は、基礎まで戻る必要があります。難しい問題を数多く解くより、理解できていない部分を見つけて学び直すほうが、秋以降の問題演習へ進みやすくなるでしょう。
共通テストや志望校の入試問題を対策する
夏期講習には、共通テストや志望校の入試問題を扱う講座もあります。時間配分や問題を解く順番、記述答案の作り方など、入試を意識した対策を進められるのが特徴です。
ただし、志望校別講座を受ければ、すぐに合格点を取れるようになるわけではありません。講座の対象レベルや前提となる知識を確認し、現在の学力に合ったものを選んでください。基礎に不安がある科目は、大学別講座よりも基礎・標準レベルの復習を優先する判断も必要です。
2学期以降に学ぶ内容を先取りする
高1・高2向けの夏期講習では、2学期以降に学校で習う内容を先取りする講座も開かれています。授業で初めて学ぶ前に基本事項を理解しておけば、学校の授業を理解しやすくなります。
ただし、1学期までの内容に苦手が残っている場合は、先取りより復習を優先したほうがよいでしょう。学校の問題集や定期テストを見直し、復習と先取りのどちらが必要か判断してから講座を選びましょう。
大学受験の夏期講習にはどのような種類がある?
大学受験向けの夏期講習には、集団授業、個別指導、映像授業・オンライン授業などがあります。塾やサービスによっては、学習計画の作成や進み具合の確認を中心とした学習管理・コーチングも利用できます。
授業形式によって、授業の進み方や質問のしやすさ、受講できる場所が異なります。評判や知名度だけでなく、自分が勉強を続けやすい形式かどうかを考えて選ぶことが大切です。
集団授業
集団授業は、複数の生徒が同じ教室で授業を受ける形式です。決められたカリキュラムに沿って進むため、自分で学習内容を決めるのが苦手な人でも取り組みやすいでしょう。
同じ大学を目指す受験生と一緒に学べることも特徴です。一方、授業の進度や難易度を一人ひとりに合わせるのは困難です。対象となる学年や学力、使用する教材が自分に合っているかを確認してください。
個別指導
個別指導は、講師が一人または少人数の生徒を担当する形式です。現在の理解度に合わせて、苦手な単元を重点的に扱ってもらえる場合があります。
質問するのが苦手な人や、集団授業では内容についていけなかった人にも選択肢となります。ただし、講師一人が担当する生徒数や授業の進め方は塾によって異なります。体験授業では、説明を聞く時間と自分で問題を解く時間の配分を見ておきましょう。
映像授業・オンライン授業
映像授業やオンライン授業は、自宅や校舎のパソコンなどを使って受講する形式です。部活動が忙しい人や、通学できる範囲に希望する講座がない人でも利用しやすい方法です。
時間の自由度が高い分、受講を先送りしやすい点には注意が必要です。「毎週何曜日の何時に受ける」と決めたうえで、視聴期限や質問方法も確認しておきましょう。
学習管理・コーチング
塾やサービスによっては、夏休みの学習計画や進み具合を確認してもらえる学習管理・コーチングを提供しています。参考書を使った自習を中心に進め、定期的な面談や確認テストを受ける形式などがあります。
一般的な講義型の夏期講習とは役割が異なり、教科の質問や個別授業に対応していないサービスもあります。学習計画の管理だけを頼みたいのか、問題の解説も受けたいのかを明確にして選んでください。
大学受験に向けて夏期講習を受けるメリット
夏期講習のメリットは、夏休みに勉強する時間が増えることだけではありません。講師の解説や添削を受けることで、自習では気づきにくい課題を見つけられる点にもあります。
ただし、授業へ参加するだけでは学習内容は定着しません。講師から教わる時間と、自分で問題を解く時間を組み合わせる必要があります。
苦手科目を集中的に対策できる
自分で復習していると、間違えた原因を正しく判断できない場合があります。たとえば、英語長文を読めない原因が単語不足なのか、文法の理解不足なのかによって、必要な勉強は異なります。
講師に問題の解き方や答案を見てもらえば、どこでつまずいているのかを整理しやすくなります。課題が明確になれば、授業後に取り組む問題も選びやすくなるでしょう。
共通テストや志望校に合わせた対策ができる
共通テストや大学別の講座では、実際の出題形式を踏まえた問題演習に取り組めます。時間内に解く順番や、記述答案に必要な考え方を学べる点がメリットです。
講師の解説や添削を受けることで、知識不足なのか、問題文の読み違いなのか、答案の書き方に問題があるのかを整理できます。扱う科目や問題の難易度が、現在の課題と合っているかを判断基準にしましょう。
わからない問題を講師に質問できる
参考書の解説を読んでも理解できない問題を、講師へ直接質問できます。途中式や考え方を見てもらえば、どの段階で判断を誤ったのかも確認できます。
質問するときは、「全部わかりません」と伝えるより、自分が考えた過程を示すのがおすすめです。質問の受け付け方も塾選びの基準にしてください。
夏休みの学習リズムを作りやすい
夏休みは学校へ行く機会が減り、生活のリズムが崩れやすくなります。夏期講習の時間が決まっていれば、授業を中心に1日の予定を組み立てやすくなるでしょう。
講習がない日も同じ時間帯に机へ向かえば、夏期講習が終わったあとも学習習慣を保ちやすくなります。
ほかの受験生から刺激を受けられる
集団授業や自習室では、同じように大学受験を目指す高校生と一緒に勉強できます。ただし、模試の結果や勉強時間を周りと比べすぎる必要はありません。
周囲から刺激を受けつつ、自分が立てた計画を進めてください。他人が受けている講座ではなく、自分の課題に必要な講座を選ぶことが基本です。
夏期講習が必要か判断する3つのポイント
夏期講習は、大学受験をする高校生全員に必要なものではありません。手持ちの教材と学習計画があり、自分で勉強を続けられるなら、自習を優先する方法もあります。
自分だけでは解決できない課題があるか
参考書を読めば理解できる単元や、手持ちの問題集で練習できる内容であれば、新しい講座を増やさなくても対応できます。
一方、解説を読んでも理解できない単元、添削が必要な記述問題、志望校独自の出題形式などは、講師から指導を受ける意味があります。「夏期講習でなければ解決しにくい課題は何か」と考えてみましょう。
夏休みの学習計画を自分で進められるか
自分で勉強を進めるには、使用する教材、毎日の学習時間、週ごとの目標を決める必要があります。計画を立てても後回しにしてしまう人は、夏期講習を学習のペースメーカーとして利用する方法があります。
自習を選ぶ場合も、週に1回は進み具合を確認し、遅れていれば翌週の内容や問題数を調整してください。
授業後の復習時間を確保できるか
夏期講習を受けるかどうかは、授業時間だけでなく、復習に使える時間まで含めて判断します。申し込む前に、授業、移動、予習、復習に必要な時間を予定表へ入れてみましょう。
復習時間を確保できない場合は、講座を減らす判断も必要です。講座数の多さより、習った内容を自力で使えるようになることを優先してください。
学年別に見る夏期講習の目的
夏期講習で優先する内容は、高1・高2・高3で異なります。学年だけで講座を決めず、模試や学校のテスト、問題集の出来を確認したうえで目標を設定しましょう。
高校3年生は基礎の完成と入試対策を進める
高校3年生は、秋以降に過去問演習を進められるよう、夏休み中に主要科目の基礎を固めたい時期です。教科書や基本問題で間違える単元がある場合は、難しい入試問題よりも復習を優先します。
基礎が固まっている科目では、共通テストや志望校の出題形式を意識した演習を始めましょう。すべての受験科目を受講せず、自習では解決しにくい課題へ絞ると復習時間を確保しやすくなります。
高校2年生は苦手を減らして受験勉強の準備を始める
高校2年生の夏休みは、英語や数学など、これまでに習った内容の苦手を減らす時期として活用できます。志望校や学部が決まっていない人は、夏休みを利用して大学について調べるのもよいでしょう。
入試科目や配点がわかれば、どの科目を優先して勉強するか考えやすくなります。部活動が忙しい場合は、限られた時間で続けられる量を決めてください。
高校1年生は学習習慣と基礎を固める
高校1年生は、高校の授業の速さや学習量に慣れることを優先します。1学期の定期テストや課題を見直し、理解できていない科目があれば夏休み中に復習しましょう。
多くの講座を受けるより、学校の課題と1学期の復習を終えられる計画が必要です。夏期講習を利用する場合も、苦手な科目や単元に絞ると取り組みやすくなります。
大学受験の夏期講習を選ぶときのポイント
夏期講習を選ぶときは、塾・予備校の知名度や合格実績だけでなく、講座の内容が自分の課題に合っているかを確認します。
夏休みに解決したい課題を明確にする
模試の結果、定期テスト、問題集で間違えた問題などを確認し、苦手な分野を見つけます。「英語の成績を上げる」ではなく、「英文を読むときに文の構造を取れるようにする」のように具体化しましょう。
目的を一文で説明できない講座は、本当に必要か考え直してください。
講座の内容が受験科目や志望校に合っているか確認する
志望校で使用する科目や配点を調べ、優先度の高い科目から講座を選びましょう。同じ「難関大学対策」という名前でも、扱う問題や分野は講座によって異なります。
志望校がまだ決まっていない場合は、特定の大学に絞った講座より、複数の大学で必要となる基礎を学ぶ講座が候補になります。
講座の難易度が現在の学力に合っているか確認する
講座の難易度は、志望校ではなく現在の学力を基準に判断します。次の項目を確認してください。
- 講座の前提となる公式や文法事項を説明できるか
- 講座案内に掲載された例題をある程度解けるか
- クラス分けテストの結果が対象レベルに達しているか
- 体験授業の内容と進度についていけるか
自分だけで判断するのが難しい場合は、模試の結果や普段使っている教材を見せて相談しましょう。
授業と復習を両立できる日程か確認する
授業時間だけでなく、予習、復習、移動にかかる時間も考えます。部活動、学校の補習、オープンキャンパスなど、決まっている予定を先に書き出してください。
出席できるかだけでなく、授業後に復習できるかまで考えて日程を組みましょう。
質問対応や自習室を利用できるか確認する
質問できる時間と方法、自習室の開室時間などを調べておきましょう。見学できるなら、自分が利用する時間帯の混雑や周囲の音も確認しておくと安心です。
自宅で集中して勉強できる人は、自習室の有無を最優先にする必要はありません。
受講にかかる費用の総額を確認する
1講座の授業料だけでなく、教材費、模試代、設備費、入会金なども確認します。複数の塾・予備校を比べるときは、次の項目を同じ条件で確認してください。
- 希望する講座をすべて受けた場合の授業料
- 教材費や模試代
- 入会金や設備費
- 振替授業や追加授業の料金
- 申し込み後の変更・キャンセル条件
- 夏期講習後に通常授業へ入る必要があるか
受講に必要な総額と、利用できる授業・サポートの内容をセットで比較しましょう。
夏期講習は何講座受ければよい?
夏期講習の適切な講座数は、現在の学力や夏休み中の予定によって異なります。次の順序で考えると、無理のない数を判断しやすくなります。
- 夏休み中に勉強へ使える時間を出す
- 学校の課題や普段の自習に必要な時間を確保する
- 各講座の授業・移動・予習・復習にかかる時間を見積もる
- 残った時間に収まる講座だけを選ぶ
「授業へ出席できるか」ではなく、「授業後の復習まで終えられるか」を基準にしてください。
優先度の高い課題から講座を選ぶ
受験で使用する科目、配点の高い科目、秋以降の学習に影響する単元などから優先順位をつけます。手持ちの参考書や学校の教材で対応できる内容は、自習へ回す方法があります。
復習まで終えられる講座数に絞る
授業で説明を聞いただけでは、入試で使える力が身についたとはいえません。授業当日に内容を見直し、数日以内に問題を解き直せる日程を組みましょう。
予定表へ復習時間を入れられない場合は、講座数を減らす判断も必要です。
塾から勧められた講座がすべて必要とは限らない
塾や予備校から複数の講座を勧められた場合は、「なぜ必要なのか」「何ができるようになるのか」「ほかの講座と重ならないか」を質問してください。
目的を説明できない講座や、現在の学力に合わない講座まで申し込む必要はありません。
夏期講習の効果を高める受け方
予習で疑問点を見つけ、授業で解決し、復習で自力でも解けるか確かめる流れを作ります。受講した講座をやり切ることを優先しましょう。
受講前に講座の範囲を確認して予習する
教材を事前に受け取れる場合は、講座で扱う範囲に目を通します。どこまでは理解できて、どこからわからないのかを確認するのが予習の目的です。
授業中に疑問点や間違えた理由を記録する
板書を写すだけでなく、自分が間違えた理由や、問題を解くときの考え方を記録しましょう。計算ミスなのか、知識不足なのか、条件の読み落としなのかによって、必要な対策は変わります。
授業後は早めに問題を解き直す
授業後は、解説やノートを見ずに問題を解き直します。答えだけでなく、途中の考え方まで説明できるか確かめてください。
一度解けた問題も、数日後に再び解くと定着度を確認できます。
講習で見つかった課題を2学期以降の勉強につなげる
夏期講習が終わったら、受講前に立てた目標を達成できたか振り返ります。残った課題は、使用する教材、取り組む日、問題数まで決めて2学期以降の計画へ組み込みましょう。
大学受験の夏期講習に関するよくある質問
夏期講習だけ塾や予備校に通うことはできる?
塾や予備校によっては、普段通っていない高校生でも夏期講習のみ受講できます。外部生向けの講座、追加費用、自習室などの利用条件を確認してください。
夏期講習はいつまでに申し込めばよい?
受付開始日や締め切りは、塾・予備校によって異なります。希望する講座の案内が公開されたら、内容、日程、定員を確認しましょう。
体験授業や進路相談を受けたい場合は、その日程も含めて申し込みまでの予定を逆算してください。
普段通っている塾とは別の夏期講習を受けてもよい?
別の塾の夏期講習を受けることも可能です。ただし、授業内容の重複や課題の増えすぎには注意してください。それぞれの講座で何を学ぶのかを整理しましょう。
部活動と夏期講習は両立できる?
部活動の日程や移動時間を踏まえて講座を選べば、両立できる場合があります。授業へ出席できても復習する時間がない場合は、講座数や受講形式を見直しましょう。
夏期講習を受けない場合は何を勉強すればよい?
模試や定期テスト、問題集の結果から苦手分野を整理し、夏休み中に使用する教材と毎日取り組む量を決めます。新しい参考書を増やすより、手持ちの教材を繰り返すほうがよい場合もあります。
週に一度は計画の進み具合を確認し、遅れていれば翌週の問題数や学習内容を調整しましょう。
夏期講習は目的を明確にして必要な講座を選ぼう
大学受験の夏期講習は、苦手分野の復習や共通テスト・志望校対策に利用できます。ただし、すべての高校生に必須ではありません。手持ちの教材で勉強を進められるなら、講習を受けずに自習する方法もあります。
講座を選ぶときは、自習だけでは解決しにくい課題へ絞りましょう。何講座受けるかではなく、授業後の復習まで終えられるかを基準にすることが大切です。
夏休みの終わりにできるようになりたいことを決め、必要な講座と自習時間を組み合わせてください。夏期講習で学んだ内容を自力で使える状態にすることが、秋以降の受験勉強につながります。

