大学受験の面接を控え、「ノックは何回すればよいの?」「どのタイミングで座ればよい?」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
面接では、受け答えの内容だけでなく、服装や挨拶、相手の話を聞く姿勢なども確認されます。ただし、細かな作法を一つ間違えただけで、すぐに不合格になるわけではありません。
まず押さえたいのは、大学からの案内に従い、面接官や周囲の受験生に配慮して行動することです。本記事では、会場への到着から退室まで、大学受験の面接で迷いやすいマナーを順番に解説します。
大学受験の面接で守りたい基本マナー
面接を受けるときは、次の点を押さえておきましょう。
一覧にあるのは、面接を受けるうえでの基本的な考え方です。集合時間や持ち物、通信機器の扱い、荷物の置き場所などは、大学ごとに案内が異なる場合があります。
大学から具体的な指示を受けたときは、インターネットで見つけた一般的なマナーより、大学の指示を優先してください。
大学受験の面接ではマナーも評価される
大学受験の面接では、志望理由や高校生活についての回答に加え、受験生の人柄やコミュニケーションの取り方も確認されます。
挨拶をする、相手の話を最後まで聞く、丁寧な言葉で答えるといった振る舞いは、面接官に対する配慮を示すものです。特別な作法で自分をよく見せるのではなく、相手と落ち着いて会話できる姿勢を見せましょう。
河合塾Kei-Netでは、大学側が受験当日のマナーや服装も確認していると説明しています。ただし、面接の評価方法や選抜における比重は大学によって異なります。作法ばかりを気にせず、自分の考えを伝えることにも意識を向けてください。
面接にふさわしい服装・身だしなみ
面接の服装で迷ったら、最初に大学からの案内を確認します。「制服着用」「私服で参加」などの指定がある場合は、案内に従ってください。
服装の指定がないときは、清潔感があり、面接中に気にならない服装を選びます。目立つ服装で印象を残そうとするより、落ち着いて受け答えができる状態を整えることが先決です。
制服で受けるときに確認すること
高校の制服がある場合は、校則に沿って着用します。面接のために特別な着方をする必要はありません。普段より着崩した状態にならないよう注意してください。
前日までに確認しておきたいのは、次の部分です。
当日の朝に慌てないよう、制服と必要な小物をまとめて用意しておきましょう。
私服やスーツで受けるときに確認すること
私服で受ける場合は、清潔で面接中に動きにくさを感じない服装を選びます。服装自由と書かれていても、派手な色柄や大きな装飾は避けるのが無難です。
「高校生は必ず制服」「浪人生は必ずスーツ」と一律に決めることはできません。大学から服装について指定されていないかを確認したうえで選んでください。
判断に迷う場合は、高校や予備校の先生、大学の入試窓口に確認する方法があります。早めに服装を決めておけば、直前は面接の内容や持ち物の確認に時間を使えます。
髪型や爪は清潔感を意識して整える
髪は、面接官から表情が見えるように整えます。前髪が目にかかる場合や、面接中に髪を触ってしまいそうな場合は、ピンなどを使ってまとめておくと気になりにくくなります。
爪やひげなども前日までに確認してください。おしゃれに見えるかではなく、清潔で、面接中に身だしなみを直す必要がないかを基準に考えます。
会場へ着いたら、髪や襟元が乱れていないかを鏡で確認しましょう。
会場に着いてから面接を待つまでのマナー
面接当日は、面接室の外でも周囲に配慮して行動します。受付や控室には大学の職員やほかの受験生もいるため、大声での会話や不要な移動は控えてください。
集合時間と会場までの道順を事前に調べる
前日までに確認したいのは、集合時間、受付場所、面接会場、会場までの経路です。大学に複数のキャンパスがある場合は、会場を取り違えないよう所在地まで調べておきます。
当日は、電車の遅れや最寄り駅からの移動時間も考え、余裕を持って出発してください。ただし、受付開始より極端に早く着くと、大学側の準備が終わっていない可能性があります。大学が指定した受付時間を基準に行動しましょう。
遅刻しそうな場合は、受験を諦めず、募集要項や受験票に記載された窓口へ連絡します。遅刻した受験生への対応は大学によって異なるため、大学からの指示を確認してください。
受付では挨拶して係員の案内に従う
受付がある場合は、「おはようございます」「よろしくお願いいたします」などと挨拶します。その後、受験番号や氏名など、係員から求められた情報を伝えてください。
長い自己紹介をする必要はありません。係員の質問に対して、聞き取りやすい声で簡潔に答えます。
大学によっては受付を設けず、受験生が直接控室へ向かう場合もあります。案内表示を確認し、場所がわからなければ近くの係員に尋ねましょう。
控室では静かに順番を待つ
控室へ入ったら、指定された座席に座って順番を待ちます。友人がいても大声で話したり、室内を歩き回ったりするのは避けてください。
スマートフォンなどの通信機器は、大学の指示に従って電源を切るか、指定された場所へしまいます。マナーモードでもアラームなどが鳴る可能性があるため、設定を事前に確認しておくと安心です。
名前や受験番号を呼ばれたら、相手に聞こえる声で返事をします。受験票や荷物を確かめ、係員の案内に従って移動しましょう。
面接室に入ってから座るまでの流れ
入室の流れを事前に知っておくと、面接の最初に慌てにくくなります。ただし、ドアが開いている場合や、係員が面接室まで案内してくれる場合もあります。会場の状況に合わせて行動してください。
名前を呼ばれたら聞こえる声で返事をする
係員から名前や受験番号を呼ばれたら、「はい」と返事をします。緊張すると声が小さくなりやすいため、相手に届いたかを意識してください。
返事をしたら、受験票や荷物を確認して面接室へ向かいます。ドアの前で慌てて持ち物を整理しなくて済むよう、控室にいるうちに準備しておきましょう。
ドアをノックしたら返事を待って入室する
自分でドアを開けて入室する場合は、最初にノックします。面接官から「どうぞ」などと返事があったら、「失礼いたします」と伝えて入室してください。
ノックの回数は、情報源によって2回または3回など説明が分かれています。回数だけに気を取られず、返事を待って静かに入室することを優先しましょう。
ドアが開いている場合や、係員からそのまま入るよう案内された場合は、状況に合わせて挨拶します。
入室したら挨拶してドアを静かに閉める
面接室へ入るときは、「失礼いたします」と挨拶します。ドアがある場合は大きな音を立てないよう、位置を確かめて静かに閉めてください。
面接官に背中を向けないようにしようとして、後ろ手で無理に閉める必要はありません。ドアのほうを向き、安全に閉めてから面接官の前へ進みます。
「どうぞ」と言われてから椅子に座る
椅子の横まで進んだら、面接官の指示に応じて受験番号、氏名、高校名などを伝えます。大学から名乗り方を指定されている場合は、その順番に従ってください。
挨拶を終えても、すぐには座りません。面接官から「お座りください」「どうぞ」などと勧められたら、「失礼いたします」と伝えて着席します。
荷物の置き場所を指定された場合は、案内された場所へ置きましょう。指示がなく置き場所に迷ったときは、面接官や係員に確認して構いません。
面接中の姿勢・表情・話し方
面接中は、作法を完璧に見せようとするより、面接官の質問を聞いて自分の考えを伝えることに集中します。姿勢や話し方を整える目的は、相手と会話しやすい状態をつくることです。
背筋を伸ばして落ち着いて座る
椅子へ座ったら、背もたれに大きく寄りかからず、背筋を伸ばします。足を組んだり、何度も座り直したりするのは避けましょう。
手は膝や太ももの上など、自分が落ち着く位置に置きます。髪や服を何度も触る癖がある人は、本番前に自分の動きを確認しておくと気づきやすくなります。
体を固めすぎると、かえって話しにくくなります。肩の力を抜き、ゆっくり呼吸しながら質問を待ってください。
質問を最後まで聞いてから答える
面接官が話している途中で答え始めると、質問の意図を取り違えるおそれがあります。質問を最後まで聞き、一呼吸置いてから話し始めましょう。
聞き取れなかった場合は、「申し訳ありません。もう一度お願いできますか」と伝えます。質問の意味をつかめなかったときも、わかったふりをせず、どの部分を確認したいのか丁寧に尋ねてください。
聞き取りやすい声量と速さで話す
緊張すると、声が小さくなったり早口になったりしがちです。普段より少しゆっくり話し、語尾まで面接官に届く声量を意識します。
回答するときは、最初に聞かれた内容へ答え、そのあとで理由や経験を補うと話が伝わりやすくなります。用意した内容をすべて話そうとして、回答が長くなりすぎないよう注意してください。
面接は暗記した文章の発表ではなく、面接官と受験生が言葉を交わす場です。
面接官のほうを見て自然な表情で話す
質問を聞くときや答えるときは、面接官のほうへ顔を向けます。相手の目を見続けようとして緊張する場合は、顔全体を見る感覚で構いません。
面接官が複数いるときは、質問した人を中心に答えます。緊張で表情が硬くなっても、無理に笑顔を作り続ける必要はありません。入室時の挨拶や返事を丁寧に行い、相手が話しているときは自然にうなずきましょう。
面接で失礼にならない言葉遣い
大学受験の面接では、普段の友人同士で使う話し方を避け、高校生として無理のない丁寧な言葉で話します。
難しい敬語を重ねる必要はありません。意味の伝わりにくい敬語を使うより、「はい」「ありがとうございます」「私は〜と考えています」など、使い慣れた丁寧な表現で答えましょう。
自分を指すときは「私」を使う
面接で自分を指すときは、「私」を使います。普段「僕」「うち」「自分」などと話している人は、声に出して慣れておきましょう。
志望大学は「〇〇大学」など自然な呼び方で伝える
志望大学の呼び方に迷う場合は、「〇〇大学」と正式名称で伝えると意味が明確です。たとえば、「〇〇大学を志望した理由は」「〇〇大学の△△学部で学びたいと考えています」のように話せます。
「貴学」は、志望理由書などの文章で使われる表現です。面接中に無理に使おうとすると不自然になりやすいため、自信がなければ大学名をそのまま伝えましょう。
分からない質問をごまかさずに答える
質問への答えが思い浮かばないときは、知っているふりをしたり、関係のない話でごまかしたりしないようにします。
少し考えれば答えられそうなら、「少し考えるお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と尋ねてください。どうしてもわからない場合は、申し訳ない気持ちを伝えたうえで、正直に答えます。
面接が終わってから部屋を出るまでの流れ
面接官から終了を告げられたあとも、慌てずに退室します。お礼を伝え、荷物を持ち、ドアを閉めるまでが退室の流れです。
終了を告げられたらお礼を伝える
面接官から「面接は以上です」などと告げられたら、「ありがとうございました」とお礼を伝えます。その後、落ち着いて立ち上がり、面接官に一礼してください。
ドアの前でもう一度挨拶して退室する
ドアの前まで進んだら、面接官のほうを向き、「失礼いたします」と伝えて一礼します。その後、ドアを開けて退室してください。
ドアは大きな音が出ないよう、最後まで手を添えて閉めます。グループ面接などでは、面接官や係員の指示に従いましょう。
面接室を出たあとも静かに行動する
面接室を出た直後に、友人と大声で話すのは避けてください。まだ面接を受けていない人がいる場合は、質問の内容を伝えないよう大学から案内されることもあります。
忘れ物に気づいても、許可なく面接室や控室へ戻らず、近くの係員へ事情を伝えましょう。面接後の移動についても大学の案内に従ってください。
オンライン面接で事前に準備すること
オンライン面接でも、服装や挨拶、言葉遣いなどの基本的なマナーは対面面接と変わりません。加えて、使用する端末や通信環境を事前に整える必要があります。
大学から届いた案内を読み、使用するアプリ、ログイン方法、接続時刻を確認してください。本番前には、面接で使う端末でカメラの映像とマイクの音声をテストします。
カメラは顔が正面から映る高さに置き、表情が暗く見えない場所を選びましょう。背景に個人情報や面接に関係のないものが映っていないかも確認します。スマートフォンやパソコンの通知音は切り、家族にも面接時間を伝えておいてください。
通信が切れた場合に備え、大学の電話番号や連絡方法を手元に控えます。接続できないときは自己判断で終了せず、大学へ連絡して指示を受けましょう。
面接本番に向けて入退室や受け答えを確認しよう
入退室の手順は、文章を読むだけでは動きを想像しにくい部分があります。学校の先生や家族に面接官役を頼み、入室から退室までを一度通してみましょう。
確認したい流れは次のとおりです。
実際に動くと、「鞄を持ったままではお辞儀をしにくい」「緊張すると返事が小さくなる」など、自分が戸惑いやすい場面に気づけます。
可能であれば、入退室や受け答えの様子を撮影して見直してください。姿勢や声量、話す速さなど、自分では気づきにくい癖を確認できます。回答は一字一句暗記せず、伝えたい要点を整理しておきましょう。
大学受験の面接マナーに関するよくある質問
大学受験の面接を控えた高校生が迷いやすい点について回答します。
マナーを間違えると不合格になりますか?
挨拶のタイミングやノックの回数を一度間違えただけで、必ず不合格になるとは限りません。面接の評価方法や選抜における比重は、大学や入試方式によって異なります。
間違いに気づいた場合は、必要に応じて短く謝り、気持ちを切り替えてください。小さなミスを引きずるより、その後の質問をよく聞き、誠実に答えることに集中しましょう。
面接当日に遅刻しそうな場合はどうすればよいですか?
遅刻しそうだとわかった時点で、募集要項や受験票に記載された大学の窓口へ連絡します。現在地、遅れる理由、到着予定時刻など、わかる範囲で状況を伝えてください。
遅刻しても受験できるかどうかは大学ごとに異なります。自分で受験を諦めず、大学からの指示に従いましょう。
質問が聞き取れなかったときは聞き返してもよいですか?
質問が聞き取れなかった場合は、丁寧に聞き返して構いません。「申し訳ありません。もう一度お願いできますか」と伝え、内容を確認してから答えます。
聞こえたふりをして質問とずれた回答をするより、確認してから答えるほうが会話を続けやすくなります。
基本のマナーを身につけて落ち着いて面接に臨もう
大学受験の面接では、服装や入退室、姿勢、言葉遣いなどの基本的なマナーが見られます。ただし、細かな作法を一つも間違えないことだけが面接の目的ではありません。
大学からの指示に従い、面接官の話を聞いて、自分の考えを誠実に伝えることが大切です。緊張して動作や言葉を間違えても、必要に応じて言い直し、その後の受け答えに集中しましょう。
本番前には募集要項と当日の案内を読み直し、入室から退室までの流れを実際に確認してください。動き方を一度確かめておけば、当日は面接官との会話に意識を向けやすくなります。


