大学受験の自己PRを前にして、「書けるような実績がない」「何から書けばよいかわからない」と悩む高校生は少なくありません。
自己PRで大切なのは、目立つ実績ではなく、自分がどのように考えて行動したかを伝えることです。日々の勉強や部活動、学校行事など、身近な経験も自己PRの材料になります。
この記事では、強みの見つけ方から文章の組み立て方まで、例文を交えて解説します。例文をそのまま使うのではなく、自分の経験に置き換えながら自己PRを作っていきましょう。
大学受験の自己PRとは
大学受験の自己PRでは、自分の強みや人柄を、具体的な経験とともに伝えます。
「私には継続力があります」と書くだけでは、その強みがどのような場面で表れたのかわかりません。何を続け、そのためにどのような工夫をしたのかまで書くと、内容に説得力が生まれます。
大学によって設問や提出方法は異なるため、書き始める前に志望校の募集要項を確認してください。
最初に募集要項と設問を確認する
大学受験では、「自己PR書」「自己推薦書」「活動報告書」など、似た名前の書類が使われます。名前が似ていても、求められる内容が同じとは限りません。
最初に確認したいのは、次の項目です。
- 設問で聞かれている内容
- 指定されている文字数
- 提出する書類の形式
- 面接やプレゼンテーションの有無
- 発表時間や資料の使用条件
大学によっては、文章ではなく、面接やプレゼンテーションで自己PRを求められます。
たとえば、宮崎大学の総合型選抜では、自己推薦書について「800文字以内」と示されています。一方、京都先端科学大学のプレゼンテーション型では、発表時間が約5分に設定されています。
一般的な例文を先に作るのではなく、志望校の設問を読んでから内容を考えましょう。
ページ名:総合型選抜Ⅰ学生募集要項(教育学部・工学部・農学部)|宮崎大学
URL:https://www.miyazaki-u.ac.jp/exam/department-exam/recommen/sogo.html
【公式の記載】
「〇自己推薦書 800文字以内」
【確認できる事実】
宮崎大学の総合型選抜では、自己推薦書に800文字以内という条件があります。
ページ名:総合型選抜入試|京都先端科学大学
URL:https://www.kuas.ac.jp/admissions/system/ao/
【公式の記載】
「プレゼンテーションの時間は約5分です。」
【確認できる事実】
自己アピールに関係する選抜では、プレゼンテーションが課される場合もあります。
自己PRと志望理由は書く内容が違う
自己PRと志望理由では、伝える内容の中心が異なります。
自己PRで伝えるのは、自分の強みや人柄です。「どのような考え方をする人なのか」「問題に直面したときにどう動くのか」を、実際の経験から説明します。
志望理由では、その大学や学部を選んだ理由が中心です。興味を持ったきっかけ、大学で学びたいこと、将来やりたいことなどを書きます。
両方を提出する場合は、同じ文章を繰り返さないようにしてください。自己PRでは「自分がどのような人か」、志望理由では「なぜその大学で学びたいか」に軸を置くと、書き分けやすくなります。
自己PRの最後で、自分の強みを入学後にどう生かしたいかへ触れると、志望理由とのつながりも作れます。
大学が求める人物像も確認する
自己PRの内容を考えるときは、志望する大学や学部のアドミッション・ポリシーも確認しましょう。アドミッション・ポリシーとは、大学がどのような学生を求めているかを示した方針です。
文部科学省の資料でも、大学入学者選抜について「アドミッション・ポリシーに基づき、学力の三要素」を評価することが示されています。
ただし、アドミッション・ポリシーに「主体性」と書かれているからといって、自己PRに「私には主体性があります」と加えるだけでは不十分です。
自分で問題を見つけて動いた経験や、周囲に働きかけた経験があれば、行動そのものから主体性が伝わります。大学が使っている言葉をそのまま借りるのではなく、自分の経験との共通点を探してください。
ページ名:独立行政法人大学入試センターの見直し内容(令和7年8月29日)|文部科学省
URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/kouritsu/detail/1409066_00021.html
【公式の記載】
「アドミッション・ポリシーに基づき、学力の三要素」
【確認できる事実】
大学入学者選抜では、アドミッション・ポリシーを踏まえた評価が求められています。
自己PRで伝える強みの見つけ方
自己PRを書こうとしても、自分の強みがすぐに思いつくとは限りません。
強みが見つからないときは、「自分の長所は何か」と考えるより、これまでの行動を振り返ってみましょう。何を続けてきたか、困ったときにどう動いたかを整理すると、自分の強みが見えてきます。
高校生活で続けてきたことを書き出す
まずは、高校生活で続けてきたことを書き出してみましょう。部活動や資格の勉強だけでなく、次のような経験も材料になります。
- 苦手科目の復習を続けた
- 毎日決まった時間に勉強した
- 部活動の準備や片づけを欠かさなかった
- 委員会の仕事に取り組んだ
- 家の手伝いやきょうだいの世話を続けた
- 興味のある分野を自分で調べた
振り返りたいのは、「続けた」という事実だけではありません。途中でうまくいかなくなったときに何を変えたか、続けるためにどのような工夫をしたかまで考えます。
勉強する時間を決めた、記録をつけた、やることを小さく分けたなどの行動は、継続力や計画性の根拠になります。
困ったときに自分が取った行動を振り返る
問題が起きたときの行動にも、その人の強みが表れます。
たとえば、文化祭の準備が遅れていたときに、担当を整理してクラスメートへ声をかけた経験があれば、主体性を伝えられます。部活動で意見が分かれたとき、一人ずつ話を聞いた経験は、協調性の材料になるでしょう。
経験は、次の順番で振り返ると整理しやすくなります。
- どのような問題があったか
- 自分は何を考えたか
- 実際に何をしたか
- 行動した結果、何が変わったか
- 経験から何を学んだか
うまくいった経験だけを探す必要はありません。失敗の原因を考え、やり方を変えた経験も、課題解決力や粘り強さの根拠になります。
家族や先生、友人に聞いてみる
自分では普通だと思っている行動が、周囲から見ると長所である場合もあります。強みが見つからないときは、家族や先生、友人に聞いてみてください。
「自分の長所は何だと思う?」だけでなく、「どんな出来事からそう思った?」まで聞くのがコツです。
「頼まれた仕事を最後までやってくれる」「意見が違う人の話も聞いている」「わからない問題を放置しない」といった答えが返ってきたら、自己PRのヒントになります。
周囲から聞いた長所を、そのまま自己PRに書くのは避けましょう。自分でも具体的な経験を思い出し、長所の根拠として使えるかを確かめてください。
特別な実績がなくても日常の経験を使える
「大会で入賞していない」「生徒会長や部長を経験していない」という理由で、自己PRを書けないと思う必要はありません。
大学受験の自己PRでは、実績の大きさだけでなく、その人がどのように考えて行動したかも伝えられます。毎日の勉強、授業への取り組み、友人への声かけなども、十分に材料になるでしょう。
たとえば、「英語の小テストに向けて毎日15分ずつ復習した」という経験からは、継続力を伝えられます。「班で発言しにくそうな人へ声をかけた」という経験なら、周囲を見て動ける点をアピールできます。
目立つ結果を探すよりも、自分なりに考えて動いた経験を掘り下げるほうが、本人らしい自己PRになります。
大学受験の自己PRを書く4つのステップ
自己PRは、次の4つを順番に整理すると書きやすくなります。
- 自分の強み
- 強みが表れた経験
- 行動の結果と学び
- 大学での生かし方
設問によっては、4つすべてを入れる必要はありません。文字数が少ない場合は、強みと経験を優先しましょう。
最初に自分の強みを伝える
自己PRの書き出しでは、最も伝えたい強みを先に書きます。
「私の強みは、決めたことを続けられる点です」「私の強みは、周囲の意見を聞いて行動できる点です」など、結論から始めると話の中心がすぐに伝わります。
「継続力もあり、協調性や責任感もあります」のように、複数の強みを並べるのは避けてください。それぞれの根拠が薄くなり、何を一番伝えたいのかわかりにくくなります。
強みを一つに決められない場合は、最も具体的な経験を書けるものを選びましょう。
強みが表れた経験を書く
強みを示したら、その根拠となる経験を書きます。読み手が場面を想像できるように、問題と行動を具体的に説明してください。
たとえば、「部活動で協調性を発揮しました」だけでは、何をしたのかわかりません。
「練習方法をめぐって意見が分かれたため、一人ずつ話を聞き、全員が取り組める練習案をまとめました」と書けば、協調性がどのような行動に表れたのかが伝わります。
「頑張った」「工夫した」「協力した」と書いた箇所は、実際に何をしたのかまで説明できているか確認しましょう。
行動の結果と学んだことを書く
次に、自分が行動した結果、何が変わったのかを書きます。
結果は、成績や大会順位などの数字に限りません。クラスの話し合いが進んだ、練習に参加する部員が増えた、自分から質問できるようになったといった変化も使えます。
結果に加えて、経験から学んだことも書きましょう。
たとえば、「計画どおりに進めるには、予定を立てるだけでなく、途中で見直す必要があると学びました」と書けば、経験が現在の考え方につながっていると伝わります。
思うような結果が出なかった経験でも、原因を考えて次の行動を変えたのであれば、自己PRの材料になります。
必要に応じて大学での生かし方を書く
入学後の抱負まで問われている場合は、自分の強みを大学でどう生かしたいかを書きます。
「継続力を生かして勉強を頑張ります」だけでは、入学後の姿を想像しにくいでしょう。「実験結果を毎回記録し、失敗した原因も振り返りながら研究に取り組みたいです」と書けば、行動まで伝わります。
大学の授業、ゼミ、研究、実習、資格取得、課外活動などから、強みを生かせる場面を考えてみてください。
設問が強みや経験だけを聞いている場合は、大学での抱負を無理に加える必要はありません。限られた文字数では、質問に正面から答えることを優先します。
穴埋めテンプレートで内容を整理する
書き始められないときは、次のテンプレートに自分の経験を当てはめてみましょう。
私の強みは〇〇です。高校生活では、〇〇という問題がありました。そこで私は、〇〇しました。その結果、〇〇という変化があり、〇〇を学びました。大学では、この強みを〇〇に生かしたいです。
継続力を伝える場合は、たとえば次のように整理できます。
- 強み:苦手なことでも続けられる
- 問題:英語の長文を時間内に読めなかった
- 行動:毎日1題ずつ解き、間違えた理由を記録した
- 結果:読む速さが上がり、苦手意識も減った
- 学び:小さな目標に分けると続けやすい
- 大学での生かし方:語学学習を継続する
テンプレートは、自己PRの材料を整理するためのものです。完成した文章では、設問や文字数に合わせて不要な部分を削り、自然な流れに整えてください。
大学受験で使える強み別の自己PR例文
ここからは、大学受験で使える自己PRの例文を強み別に紹介します。
注目したいのは、きれいな言い回しではなく、強みを行動で示している点です。経験や工夫、学んだことを自分の事実に置き換えて使ってください。
継続力をアピールする例文
継続力を伝えるときは、取り組んだ期間だけでなく、続けるために行った工夫も書きましょう。
【例文】
私の強みは、苦手なことにも粘り強く取り組める点です。高校1年生のとき、私は英語の長文を時間内に読み終えられず、苦手意識を持っていました。そこで、毎日1題ずつ長文を読み、わからなかった単語と問題を間違えた理由をノートに記録しました。部活動で帰宅が遅い日は短い問題を選び、勉強を途切れさせないようにしました。その結果、長文を読む速さが上がり、模試でも落ち着いて問題に取り組めるようになりました。この経験から、大きな目標を小さく分けて続けることの大切さを学びました。大学でも学習記録をつけ、苦手な分野から逃げずに取り組みます。
例文では、「英語の勉強を頑張った」で終わらず、毎日1題解いたことや記録を残したことまで書いています。自分の自己PRでも、続けるために決めたルールや、途中で行った工夫を入れてみましょう。
計画性をアピールする例文
計画性の自己PRでは、予定を立てたことだけでなく、進み具合に合わせて計画を直した経験も役立ちます。
【例文】
私の強みは、目標から逆算して行動できる点です。高校2年生の秋、部活動の大会と定期試験の時期が重なりました。そこで、試験日までに必要な勉強を科目ごとに書き出し、1週間単位で予定を立てました。しかし、最初の週は予定を詰め込みすぎて、計画どおりに進みませんでした。そこで、練習時間が長い日は暗記を中心にし、休日に問題演習の時間を取る形へ変更しました。予定を毎週見直した結果、部活動を休まず、試験勉強も最後まで進められました。この経験から、計画は立てて終わりではなく、進み具合に合わせて直す必要があると学びました。
最初から完璧な計画を立てたように見せる必要はありません。予定が崩れた場面と、その後の直し方を書くと、自分なりの工夫が伝わります。
協調性をアピールする例文
協調性は、「誰とでも仲良くできる」と書くだけでは伝わりません。意見が違う相手とどう関わったかを示しましょう。
【例文】
私の強みは、意見が違う人の話を聞き、話し合いを前へ進められる点です。文化祭でクラス展示を決めた際、準備の負担を減らしたい人と、内容にこだわりたい人で意見が分かれました。私は、発言の多い人だけで決めないよう、班ごとに希望と心配な点を聞きました。そのうえで、展示の中心となる企画を一つに絞り、装飾は準備時間に合わせて調整する案を出しました。役割も希望を聞いて決めたところ、準備に参加する人が増えました。この経験から、全員の意見を同じにするのではなく、違いを整理して納得できる案を探すことが大切だと学びました。
協調性を伝えるときは、「協力した」という言葉だけに頼らず、話を聞く、意見を整理する、役割を調整するといった行動を書いてください。
主体性をアピールする例文
主体性を伝えるには、指示を待たずに動いた経験が役立ちます。なぜ行動しようと思ったのかも書きましょう。
【例文】
私の強みは、問題に気づいたとき、自分から行動に移せる点です。所属していたバドミントン部では、練習後の片づけが一部の部員に偏り、終了時間が遅くなる日が続いていました。私は、担当が決まっていないことが原因だと考え、用具、清掃、戸締まりの3つに作業を分ける案を顧問と部長へ伝えました。部員からも意見を聞き、1週間ごとに担当を交代する形にしたところ、全員が片づけに参加するようになりました。この経験から、小さな問題でも、原因を考えて周囲へ提案すれば改善できると学びました。
「自分から動きました」と書くだけでなく、問題に気づいた理由や周囲への働きかけまで入れると、主体性が伝わりやすくなります。
探究心をアピールする例文
探究心の自己PRでは、興味を持っただけで終わらせず、疑問を確かめるために何をしたかを書きます。
【例文】
私の強みは、疑問に思ったことをそのままにせず、自分で調べられる点です。地理の授業で食品ロスについて学んだ際、家庭と店舗では、食品を捨てる理由が違うのではないかと疑問を持ちました。そこで、自治体が公開している資料を読み、家族にも食品を捨てた理由を1週間記録してもらいました。調べるうちに、買いすぎだけでなく、冷蔵庫にある食品を把握できていないことも原因になると気づきました。家庭で食品の置き場所を決めたところ、期限切れに気づきやすくなりました。この経験から、資料を読むだけでなく、身近な行動も調べることで、問題を具体的に考えられると学びました。
調べた情報を並べるより、「何に疑問を持ったか」「どのような方法で確かめたか」を中心に書くのがコツです。
課題解決力をアピールする例文
課題解決力を伝えるときは、問題の原因をどう考え、行動をどう変えたかを示します。
【例文】
私の強みは、うまくいかない原因を考え、やり方を変えられる点です。高校2年生の数学では、問題集を繰り返しても点数が伸びませんでした。勉強時間を増やすだけでは変わらないと考え、答案を見直したところ、公式を覚えていても、どの場面で使うかを理解できていないと気づきました。そこで、間違えた問題について、使う公式だけでなく、なぜその解き方を選ぶのかをノートに書きました。先生にも考え方を説明し、理解が合っているか確認しました。その結果、初めて見る問題でも解き方を考えられるようになりました。この経験から、結果が出ないときは、努力の量だけでなく方法を見直す必要があると学びました。
失敗や苦手分野を隠す必要はありません。原因を考えて改善した流れを示せれば、自分の考え方や成長を伝えられます。
例文を自分の経験に置き換える方法
例文から取り入れるのは、経験の内容ではなく、文章の組み立て方です。
たとえば、例文に「毎日1題ずつ長文を読んだ」と書かれていても、自分が同じ経験をしていなければ使えません。実際に続けたことが朝の学習なら、「毎朝20分早く登校して復習した」と置き換えます。
次の5点を、自分の事実に合わせて整理しましょう。
- 伝えたい強み
- 当時の問題や目標
- 自分が取った行動
- 行動によって起きた変化
- 経験から学んだこと
文章が整っていても、自分の経験と合っていなければ、面接で詳しく聞かれたときに答えられません。本人にしか話せない場面や工夫が入っているかを確認してください。
文字数に合わせて自己PRをまとめる方法
自己PRの文字数は、大学や選抜方式によって異なります。200字程度の場合もあれば、600〜800字程度を書く場合もあるため、募集要項の指定を優先してください。
文字数にかかわらず、伝える強みと中心となる経験は一つに絞ります。文字数に合わせて変えるのは、経験を説明する詳しさです。
200字程度なら強みと経験を一つに絞る
200字程度の自己PRでは、「強み」「代表的な行動」「学んだこと」を短くまとめます。
【例文】
私の強みは継続力です。英語の長文への苦手意識をなくすため、高校2年生から毎日1題ずつ問題を解きました。忙しい日は短い問題を選び、学習を止めないようにしました。間違えた理由も記録した結果、模試でも時間内に問題を解けるようになりました。この経験から、目標を小さく分けて続ける大切さを学びました。
文字数が少ない場合は、背景を詳しく説明しすぎると、自分の行動を書けなくなります。一つの強みと一つの経験に絞り、関係の薄い情報は省きましょう。
400字程度なら工夫や変化まで書く
400字程度なら、問題の背景や、自分が行った工夫まで詳しく書けます。
強みを最初に示したら、次の順番で文章を組み立ててください。
- どのような問題があったか
- 最初はどのような状態だったか
- 問題を解決するために何をしたか
- 行動した結果、何が変わったか
- 経験から何を学んだか
文字数が増えても、実績を追加するだけでは内容は深まりません。自分が何を考えて行動したのかに文字数を使うと、人柄が伝わりやすくなります。
600〜800字程度なら行動の過程を詳しく書く
600〜800字程度では、問題に気づいてから結果が出るまでの流れを詳しく説明できます。周囲との関わりや、途中でやり方を変えた場面も入れられるでしょう。
長い自己PRでも、中心となる強みは一つに絞ります。継続力、協調性、主体性と話題を次々に変えると、何を伝えたいのかわかりにくくなるためです。
文章を広げるときは、別の経験を足すのではなく、次の点を掘り下げます。
- 問題を解決しようと思った理由
- 行動するときに迷ったこと
- 周囲へどのように働きかけたか
- 最初の方法でうまくいかなかった点
- 経験前と経験後で変わったこと
行動の過程を詳しくすると、文字数が多くても話の軸を保てます。
面接やプレゼンテーションで自己PRを伝えるコツ
書類で提出した自己PRを、面接やプレゼンテーションで伝える場合もあります。
話す時間や形式は大学によって異なるため、募集要項を確認して準備しましょう。文章を一字一句覚えるより、話す順番と要点を押さえるほうが自然に伝えられます。
指定された時間に合わせて内容を調整する
短い面接回答と、数分間のプレゼンテーションでは、話せる情報量が違います。
短い回答では、強みと代表的な経験を簡潔にまとめます。長い発表なら、問題の背景、自分の工夫、結果まで詳しく説明できるでしょう。
原稿を作ったら、実際に声に出して時間を測ってください。時間を超えた場合は、話す速度を無理に上げず、強みと関係の薄い説明を削ります。
時間が余るときは、同じ内容を繰り返すのではなく、自分が取った行動や学んだことを具体的にしましょう。
最初に強みを一文で伝える
面接で「自己PRをしてください」と聞かれたら、最初に自分の強みを答えます。
「私は高校で部活動に力を入れました」と経験から始めるより、「私の強みは、問題に気づいたときに自分から動ける点です」と答えるほうが、話の中心が伝わります。
続けて「この強みは、部活動で練習方法を見直した経験に表れています」と話せば、具体的な経験へ自然につなげられます。
前置きが長いと、何をアピールしたいのかわかりにくくなります。最初の一文は、すぐに答えられるよう準備しておきましょう。
提出書類と内容をそろえる
面接で話す自己PRは、提出書類と基本的な内容をそろえます。
書類では継続力をアピールしたのに、面接では急に協調性を中心に話すと、人物像が伝わりにくくなります。書類に書いた強みや経験を軸にしながら、説明を補う形で話してください。
ただし、書類の文章を丸暗記する必要はありません。暗記した文を思い出そうとすると、一部を忘れたときに話を続けにくくなります。
強み、問題、行動、結果、学びの5点を押さえ、自分の言葉で説明できるように練習しましょう。
追加質問にも答えられるようにする
自己PRを話した後は、経験について詳しく聞かれる場合があります。
たとえば、次のような質問です。
- なぜ、その行動を取ったのですか
- 一番苦労したことは何ですか
- 反対意見はありませんでしたか
- ほかの方法は考えましたか
- もう一度取り組むなら、何を変えますか
- その強みを大学でどう生かしますか
答えをすべて暗記する必要はありません。当時の状況や、自分が考えたことを振り返っておけば、質問の言い方が変わっても答えやすくなります。
自己PRを書いた後のチェックポイント
自己PRを書き終えたら、誤字や脱字だけでなく、内容も見直しましょう。
自分では伝わると思っていても、経験を知らない人には状況が見えないことがあります。可能であれば、家族や先生にも読んでもらい、自分の人柄や行動が伝わるか聞いてみてください。
設問と募集要項に合っているか
最初に確認したいのは、設問へきちんと答えているかです。
「あなたの強みを、具体的な経験とともに説明してください」という設問に対して、志望理由や将来の夢ばかり書いていないか見直します。
文字数、提出方法、ファイル形式、締切なども、募集要項と照らし合わせてください。「800字以内」であれば、必ず800字近くまで書かなければならないわけではありません。ただし、短すぎて強みの根拠が伝わらない文章は避けましょう。
内容だけでなく、提出条件まで満たしているかを確認して完成です。
強みと経験が合っているか
書いた経験から、本当にその強みが伝わるかを確認します。
たとえば、計画を立てた経験が中心なのに、強みを「協調性」としている場合は、説明がかみ合わない可能性があります。周囲へ働きかけた場面がほとんどなければ、「計画性」としたほうが自然です。
強みと経験が合わないときは、経験を無理に書き換える必要はありません。経験のなかで自分が取った行動を見直し、それに合う強みを選び直しましょう。
家族や先生に読んでもらい、「どのような強みを感じたか」を聞く方法も役立ちます。
自分の行動が具体的に書かれているか
「頑張りました」「工夫しました」「協力しました」と書いた部分を探し、行動が伝わるか確認してください。
「工夫しました」だけでは、読み手は何をしたのかわかりません。「毎週日曜日に学習記録を見直し、次の週の予定を立て直しました」と書けば、工夫の内容が伝わります。
「積極的に声をかけました」と書いた場合も、誰に、何を伝え、その後どうなったのかまで振り返りましょう。
抽象的な言葉を実際の行動へ置き換えると、強みの根拠がはっきりします。
強みを詰め込みすぎていないか
自己PRでは、自分のよいところをできるだけ多く伝えたくなるかもしれません。しかし、強みを詰め込むほど、それぞれの説明は薄くなります。
「継続力があり、責任感も強く、周囲と協力でき、主体的に行動できます」と並べても、何が一番の強みなのかわかりません。
中心となる強みを一つ決め、ほかの長所は経験のなかで自然に伝える程度にします。
たとえば、継続力を中心にした文章でも、計画を立てた行動を書けば、計画性は読み手に伝わります。すべての長所に名前をつける必要はありません。
自分の言葉で説明できるか
最後に、書いた文章を声に出して読んでみましょう。
普段使わない難しい言葉が多い場合や、一文が長くて読みづらい場合は、表現を見直します。面接で「どういう意味ですか」と聞かれても、自分の言葉で説明できるかが判断の基準です。
インターネットで見つけた例文や、生成AIが作った文章を参考にする場合も、自分の経験と合っているか確認してください。事実と違う経験や、実際には感じていない学びを加えてはいけません。
文章のうまさよりも、自分が経験したことを具体的に伝えられているかが大切です。
自分の経験が伝わる自己PRを作ろう
大学受験の自己PRでは、目立つ実績がなくても、自分の強みを伝えられます。毎日の勉強、部活動、学校行事、友人との関わりなど、身近な経験も自己PRの材料です。
まずは募集要項と設問を確認し、何を求められているのか整理してください。そのうえで、「強み」「経験」「行動」「結果と学び」の順に材料を並べると、文章を組み立てやすくなります。
例文から取り入れるのは、文章そのものではなく組み立て方です。自分が実際に考えたことや取った行動に置き換え、面接でも自分の言葉で説明できる自己PRに仕上げましょう。


