第一志望に合格できなかったとき、「浪人してもう一度挑戦するか」「合格した大学へ進学するか」で迷う人は少なくありません。
浪人すれば、第一志望を再び目指せます。ただし、1年間勉強すれば必ず合格できるわけではなく、現役進学より時間や費用もかかります。不合格直後の悔しさだけで決めるのは避けたいところです。
判断するうえで確認したいのは、志望理由、現役時の不合格原因、現在の学力、勉強を続けられる環境、費用の5つです。本記事では、浪人するべきか迷っている高校生に向けて、進路を考える基準や浪人のメリット、事前に知っておきたい注意点を解説します。
浪人するべきか迷ったら、5つのポイントを確認しよう
浪人するべきかどうかに、全員に当てはまる答えはありません。同じ成績でも、志望理由や家庭の状況、用意できる勉強環境によって選択は変わります。
判断するときは、次の5つを確認しましょう。
当てはまる項目の数だけで、浪人するか決める必要はありません。自分にとって譲れない条件は何かを考えながら、一つずつ整理していきましょう。
その大学・学部でなければならない理由があるか
最初に考えたいのは、第一志望の大学・学部へ行きたい理由です。
有名な大学だから
偏差値が高いから
不合格のままでは悔しいから
だけでは、浪人生活の途中で目標を見失うおそれがあります。学びたい分野や取得したい資格、興味のある研究など、入学後に取り組みたいことを考えてみてください。
同時に、希望する勉強や進路をほかの大学で実現できないかも調べましょう。第一志望と同じ分野を学べる大学や、希望する資格を取得できる大学が見つかる場合もあります。
大学名だけでなく、授業内容や卒業後の進路まで比べると、浪人して再挑戦したいのか、合格した大学へ進みたいのかを判断しやすくなります。
現役時の不合格原因が分かっているか
浪人を検討するなら、現役時に合格できなかった原因を振り返りましょう。原因が分からないまま勉強を続けると、同じ失敗を繰り返しかねません。
不合格につながった要因として、次のようなものが考えられます。
「勉強量が足りなかった」で終わらせず、どの科目の何が足りなかったのかまで考えるのがポイントです。原因を特定できれば、浪人中に変えるべき勉強方法も見えてきます。
自分だけで判断するのが難しい場合は、模試や過去問の答案を用意して、学校や塾・予備校の先生に相談してみてください。自分では気づかなかった弱点が見つかることもあります。
現在の学力と合格ラインの差を埋められそうか
第一志望への思いが強くても、現在の学力と合格ラインが大きく離れている場合は、1年間で差を埋められるか考える必要があります。
模試の判定だけで結論を出さず、過去問の得点や科目ごとの失点を確認しましょう。合格最低点まで何点足りないのか、どの科目を伸ばせば届くのかを整理すると、必要な勉強が見えやすくなります。
たとえば、英単語や英文法などの基礎不足が主な原因なら、学び直すことで得点を伸ばせる余地があります。一方、複数の科目を基礎からやり直す必要がある場合は、志望校や受験科目を見直すことも選択肢です。
合格最低点を調べるときは、大学が公表している入試結果を確認してください。年度や学部、入試方式によって数字が異なるため、自分が受ける方式と同じ条件で比べましょう。
1年間勉強を続けられる環境を用意できるか
浪人生活では、勉強時間が増える一方、生活や学習の予定を自分で管理する場面も増えます。やる気だけに頼らず、勉強を続けられる環境を用意できるか確認しましょう。
検討したい項目は次のとおりです。
予備校へ通えば、授業や自習室、進路指導などを利用できます。しかし、通うだけで学力が伸びるとは限りません。授業の予習・復習や、自習時間の使い方まで考える必要があります。
宅浪を選ぶ場合は、勉強場所と質問手段に加えて、計画どおり進んでいるか確認する仕組みも用意しておきましょう。
必要な費用について家族と話し合えているか
浪人すると、現役時にはなかった費用がかかります。予備校や塾の受講料だけでなく、教材費、模試代、受験料、交通費なども必要です。
宅浪を選べば予備校の受講料は抑えられますが、教材や模試、受験の費用までなくなるわけではありません。自宅以外の勉強場所を利用するなら、利用料や交通費がかかる場合もあります。
必要な金額は、勉強方法や受験校数によって変わります。検討している予備校や模試の料金を調べ、1年間にかかる費用を大まかに計算してみてください。
費用は本人の希望だけで決められる問題ではありません。志望校へ行きたい理由や浪人中の計画も伝え、早めに家族と話し合いましょう。
5つのポイントから、自分に合う進路を考えよう
5つのポイントを確認したら、浪人した場合と現役で進学した場合を比べてみましょう。
浪人を選びやすい性格や、現役進学に向いている性格が決まっているわけではありません。現在の学力や不合格原因、用意できる環境から考えることが大切です。
浪人を前向きに検討しやすいケース
次のような条件が複数そろっている場合は、浪人を選択肢に入れやすいでしょう。
なかでも確認したいのは、現役時と何を変えるのか説明できるかどうかです。「次はもっと頑張る」だけでは、浪人生活が始まったあとに何を勉強するべきか迷ってしまいます。
使う教材や毎日の勉強時間、進み具合を確認する方法まで考えられていれば、浪人後の生活を具体的に想像できます。足りない条件がある場合は、浪人を諦める前に準備できないか検討しましょう。
現役進学も検討したいケース
次のような場合は、合格した大学へ進学する選択肢も改めて考えてみてください。
現役進学は、第一志望を諦めて仕方なく選ぶ進路とは限りません。合格した大学で希望する分野を学べるなら、大学での勉強を早く始められます。
まずは、合格した大学の授業内容や資格、留学制度、卒業後の進路を調べましょう。詳しく調べないまま「第一志望ではないから行きたくない」と判断すると、自分に合う進学先を見落とすおそれがあります。
浪人する4つのメリット
浪人すると、第一志望へ再挑戦するための時間を確保できます。現役時の勉強を振り返り、方法を変えられれば、苦手科目の克服や志望校対策にも取り組めます。
ここでは、浪人する4つのメリットを見ていきましょう。
第一志望の大学・学部にもう一度挑戦できる
浪人する大きなメリットは、第一志望へもう一度挑戦できることです。
大学や学部によって、学べる内容や取得を目指せる資格、研究環境は異なります。進みたい分野が明確で、その大学を目指す理由があるなら、1年間かけて再挑戦することにも意味があります。
一方、浪人すれば翌年に合格できるとは限りません。再挑戦しなかった場合に後悔しそうかだけでなく、結果が保証されていなくても挑戦したいかを考えてみてください。
苦手な科目を基礎から学び直せる
浪人期間中は、現役時に理解が不十分だった内容へ戻って勉強できます。
入試問題が解けなかった原因は、応用力ではなく、英単語や英文法、数学の公式といった基礎部分にあるかもしれません。基礎が身についていない状態で難しい問題集を繰り返しても、得点は安定しにくいものです。
現役時の模試や過去問を見直し、どの単元からわからなくなっているのかを確認しましょう。必要であれば、高校1・2年生の範囲まで戻っても問題ありません。
苦手な原因に合った教材を選び、理解できたか確かめながら進めれば、学び直しを得点につなげやすくなります。
志望校に合わせた勉強に集中できる
高校生活では、受験勉強以外にも、学校の授業や定期テスト、行事があります。浪人すると受験に使える時間が増え、自分に必要な勉強へ集中しやすくなります。
たとえば、記述問題の配点が高い大学を目指すなら、答案を書いて添削を受ける時間を増やせます。英語の長文が多く出題される大学なら、読む速さや設問の解き方を重点的に練習できるでしょう。
長時間机に向かうだけでは、合格に近づいているか判断できません。志望校の出題傾向を調べ、得点を伸ばすために必要な勉強へ時間を使うことが大切です。
大学・学部の選び方をもう一度考えられる
浪人期間は、志望校へ再挑戦するだけでなく、大学で何を学びたいのか考え直す時間にもなります。
現役時には、偏差値や知名度を中心に受験校を選んでいた人もいるでしょう。しかし、同じ名前の学部でも、授業や研究の内容は大学によって異なります。
興味のある授業や研究、取得したい資格を調べ直すと、別の大学が候補に入る場合もあります。第一志望を変えることは、必ずしも目標を下げることではありません。自分の目的に合う大学が見つかったなら、受験校を見直すのも前向きな判断です。
浪人する前に知っておきたい4つの注意点
浪人にはメリットがある一方、時間や費用、精神面での負担もあります。決断したあとに後悔しないためには、苦しくなりそうな点も先に考えておかなければなりません。
注意点を確認したからといって、浪人を避けるべきだと決まるわけではありません。困ったときにどう対処するかを、浪人生活が始まる前に考えておきましょう。
現役進学よりも時間と費用がかかる
浪人すると大学へ入学する時期が1年遅くなり、その間の勉強にも費用がかかります。
予備校や塾へ通う場合は、通常の授業に加え、季節講習などの料金が必要になることもあります。教材、模試、受験、交通にも費用がかかるため、授業料だけで判断しないようにしましょう。
宅浪であれば受講料を抑えられますが、教材費や模試代、受験料までなくなるわけではありません。費用を減らすために必要な支援まで削ってしまうと、勉強を続けにくくなる可能性があります。
検討している勉強方法ごとに費用を書き出し、家族と相談したうえで無理のない方法を選んでください。
勉強しても第一志望に合格できるとは限らない
浪人期間中に勉強を続けても、第一志望に合格できるとは限りません。現役時より勉強時間が増えても、同じ方法を繰り返していれば、思うように得点が伸びない場合があります。
たとえば、基礎が不足しているのに難しい問題ばかり解いても、点数は安定しません。教材を予定どおり終わらせることに集中し、内容を理解できているか確認せずに進むのも避けたいところです。
浪人する前に、現役時の失敗をどう改善するか決めましょう。勉強を始めたあとは、模試や過去問の結果を振り返り、必要に応じて計画を修正してください。
孤独やプレッシャーを感じることがある
浪人中は、高校時代の友人と生活が変わります。友人が大学生活を送る様子を見て焦ったり、自分だけ取り残されたように感じたりすることもあるでしょう。
受験が近づくにつれて、「翌年も不合格だったらどうしよう」という不安が強くなるかもしれません。一人で抱え続けると勉強へ集中しにくくなるため、相談できる人を決めておくと安心です。
家族や先生に定期的に状況を話すほか、予備校の面談などを利用する方法もあります。休憩や運動の時間も予定に入れ、勉強を続けられる状態を保ちましょう。
自分で生活と勉強のペースを管理する必要がある
浪人生活では、高校のように毎日の時間割や提出期限が決まっているとは限りません。起床時間や勉強を始める時間、教材を進める速さなどを自分で管理する必要があります。
最初から細かすぎる予定を立てると、一度遅れただけで計画全体が崩れやすくなります。1週間のなかに予備の時間を設け、終わらなかった範囲を調整できるようにしましょう。
勉強時間だけでなく、確認テストや過去問の点数も記録しておくと、理解が進んでいるか判断しやすくなります。計画を予定どおり進めることより、得点につながっているかを確かめてください。
浪人か現役進学か迷ったときの決め方
浪人と現役進学のどちらを選ぶか迷ったときは、頭の中だけで考え続けず、判断材料を書き出してみましょう。
志望理由や費用、翌年の勉強方法を目に見える形にすると、気持ちだけでは気づけなかった問題が見えてきます。
志望理由と不合格原因を書き出す
まずは、第一志望へ行きたい理由と、現役時に合格できなかった原因を分けて書き出します。
志望理由については、次の質問を考えてみてください。
不合格原因については、科目や単元、勉強方法まで具体的に振り返ります。
「不合格だったのが悔しい」という気持ちは自然です。しかし、悔しさと志望理由を混ぜてしまうと、本当にその大学へ行きたいのか判断しにくくなります。
書き出した内容を時間を置いて読み直し、それでも再挑戦したいと思えるか確認しましょう。
志望校と合格した大学を同じ条件で比べる
第一志望と合格した大学を比べるときは、偏差値や知名度だけで判断しないようにしましょう。
比較したい項目には、次のようなものがあります。
同じ項目で比べると、それぞれの大学の違いが見えやすくなります。情報を集めるときは、大学公式サイトのカリキュラムやシラバス、入試情報を確認してください。日程が合えば、オープンキャンパスや相談会に参加するのもよいでしょう。
調べた結果、合格した大学でも希望をかなえられるとわかれば、現役進学を前向きに考えられます。反対に、第一志望でなければ学べない内容が明確になれば、浪人を選ぶ理由もはっきりします。
浪人した場合の計画と費用を具体的に考える
浪人を選ぶ前に、1年間の生活を具体的に想像してみましょう。
予備校へ通うなら、授業の時間だけでなく、予習・復習や自習の時間も考えます。宅浪を選ぶ場合は、教材の選び方、質問方法、模試を受ける時期、勉強場所まで決めなければなりません。
費用についても、授業料だけでなく、教材や模試、受験、交通などを含めて計算します。必要な金額と支払う時期をまとめ、家族に伝えられるようにしておきましょう。
計画を立てても実行する姿を想像できない場合は、勉強方法や環境を見直す必要があります。検討している予備校があれば、相談会や体験授業で通学後の生活を確認してみてください。
保護者や先生に相談し、最後は自分で決める
浪人には費用や生活の問題もあるため、自分一人では決められない部分があります。保護者には費用や生活について、学校や塾・予備校の先生には学力や勉強計画について相談しましょう。
保護者から反対された場合は、まず理由を聞いてください。費用が心配なのか、学力が伸びるか不安なのかによって、話し合う内容は変わります。自分の志望理由や不合格原因、翌年の計画も説明しましょう。
周囲の意見は大切ですが、言われたとおりに決めれば後悔しないとは限りません。集めた情報や助言を判断材料にして、最後は自分で選ぶ必要があります。どちらの進路を選ぶとしても、選んだ理由を自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。
浪人するべきかについてよくある質問
浪人を考えるときは、大学入学後の生活や就職への影響も気になるでしょう。ここでは、浪人するか迷っている人が抱きやすい疑問に答えます。
一浪すると大学生活で浮きますか?
一浪しているだけで、大学生活で必ず浮くわけではありません。友人関係は、浪人経験や年齢差だけで決まるものではないためです。
入学後は、授業やゼミ、サークルなどを通じて人間関係が生まれます。浪人したことを自分から話すかどうかも、本人が決めて構いません。
年齢差が気になる気持ちは自然ですが、周囲からどう見られるかだけで進路を決めるのは避けたいところです。大学で何を学びたいのかを優先して考えましょう。
浪人は就職活動で不利になりますか?
浪人経験が就職活動へ与える影響は、企業や職種、採用条件、浪人年数などによって異なります。「一浪なら絶対に影響しない」「浪人すると必ず不利になる」と一律には判断できません。
将来目指したい企業や職種が決まっているなら、採用ページや募集要項で応募条件を確認しましょう。条件がわからない場合は、企業の採用窓口へ問い合わせる方法もあります。
就職への不安だけで浪人を諦めたり、大学の難易度を上げれば必ず就職で有利になると考えたりするのは避けましょう。大学で何を学び、どのような経験を積みたいのかも含めて進路を選んでください。
予備校に通わず宅浪してもよいですか?
予備校に通わず、宅浪で大学受験を目指す選択肢もあります。ただし、教材選びや学習計画、質問、進み具合の確認を自分で行わなければなりません。
宅浪を検討するなら、次の項目を確認しましょう。
予備校と宅浪のどちらが合うかは、本人の状況によって変わります。費用の安さだけで決めず、自分に足りない支援を補える方法を選びましょう。
浪人するかはいつまでに決めるべきですか?
浪人するか決める期限は、全員同じではありません。合格した大学の入学手続き期限や、検討している予備校の申込時期を確認したうえで判断する必要があります。
合格校の入学手続き期限を過ぎたあとに気持ちが変わっても、入学できるとは限りません。迷っている間も、大学から届いた書類や公式サイトで期限を確認してください。
考える時間を取りすぎると、浪人を選んだ場合の勉強開始も遅れます。情報を集める日、家族や先生へ相談する日、結論を出す日を決めておくと、先延ばしを防ぎやすくなります。
浪人を決めたら、最初に勉強する環境を整えよう
浪人すると決めたら、すぐに長時間の勉強を始めるのではなく、最初に学習環境を整えましょう。
はじめに、現役時の模試や過去問を見直し、不合格原因を科目ごとに整理します。次に、予備校へ通うのか、宅浪するのかを決め、利用する教材や勉強場所、質問方法、相談相手を考えてください。
年間の目標を決めたら、最初の1か月に取り組む内容まで具体的にします。1年分の予定を最初から完璧に作る必要はありません。模試や過去問の結果に合わせて見直せる計画にしておきましょう。
起床時間と就寝時間を決めることも欠かせません。勉強時間だけを増やそうとすると、生活リズムが崩れて集中しにくくなる場合があります。無理なく続けられる一日の流れを作ることから始めてください。
自分が納得できる進路を選ぼう
浪人するべきかどうかは、志望大学の難易度や周囲からの評価だけでは決められません。
第一志望へ行きたい理由が明確で、現役時の不合格原因を改善できるなら、浪人して再挑戦する意味があります。一方、合格した大学でも学びたいことを実現できるなら、現役で進学するのも前向きな選択です。
迷っているときは、志望理由、不合格原因、現在の学力、勉強環境、費用の5つを確認しましょう。浪人した場合と現役進学した場合を同じ条件で比べると、自分が何を優先したいのか見えてきます。
周囲の意見も聞いたうえで、最後は自分が納得できる進路を選んでください。


